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『老後に住める家がない!』太田垣章子

概要

『老後に住める家がない!』は、人生の晩年における住まいの問題に警鐘を鳴らす一冊です。著者の太田垣章子さんは、司法書士として2300件以上の賃貸トラブルを解決してきた経験から、高齢者が直面する賃貸住宅の問題点を具体的な事例を交えて明らかにしています。本書は、資産があっても賃貸住宅を借りられない高齢者や、持ち家を維持できない人々が増える現実を描き、誰にでも起こりうる「突然ホームレス」のリスクに目を向けさせます。また、高齢者が安心して住める住まいを確保するための「住活」という新たな概念を提案し、読者に早めの行動を促しています。

本のジャンル

ライフスタイル、社会問題、人生論

要約

1. 高齢者と住まいの現実

資産があっても賃貸住宅を借りられない高齢者が急増しています。この問題の背景には、大家や不動産管理会社が抱えるリスクがあります。特に孤独死のリスクや、賃貸借契約が相続される法律的な問題が挙げられます。孤独死による物件の事故物件化や、相続人との契約解除交渉の手間が大家に大きな負担をかけているのです。また、持ち家があっても老朽化や固定資産税、修繕費などの経済的負担から維持できず、最終的に住まいを失う人も少なくありません。

想像してください。70歳を過ぎた自分が突然住む家を失い、賃貸を探そうとしても「年齢を理由に貸せません」と断られる状況を。経済的な余裕があっても借りられない現実が、高齢者にとっては当たり前のように存在しています。

2. 賃貸トラブルの深刻な実態

著者が司法書士として扱ってきた事例では、高齢者が賃貸トラブルの中心にいるケースが多いことが指摘されています。例えば、家賃を滞納している借主が高齢者の場合、強制退去が困難な状況になることが多々あります。また、建物の取り壊しなどで転居を求めても、新たな住まいが見つからないためにトラブルが長引くケースも。さらに、法律上賃貸借契約が相続される仕組みが、大家にとって大きな負担となっています。

3. 「住活」という考え方

著者は、安心して老後を迎えるために「住活」の重要性を提唱しています。住活とは、自分のライフプランに合った「終の棲家」を早めに確保するための活動を指します。60代までに住まいを確保することが推奨され、最期まで支払える家賃や建物の寿命などを考慮することが大切です。また、UR都市機構のような高齢者にも配慮した賃貸住宅の利用や、資産を守るための断捨離や人間関係の整理も住活に含まれます。

4. 法律や社会制度の改善が必要

本書では、大家と高齢者の双方が不利な立場に追い込まれないために、法律や社会制度の改善が必要であることが強調されています。賃貸借契約の相続問題や孤独死リスクに対応するための仕組みが求められています。また、地域社会での見守り活動や、行政による高齢者支援の強化も重要な課題として提起されています。

まとめと感想

『老後に住める家がない!』を読むと、住まいの問題がどれだけ深刻で、私たち自身も他人事では済まされないことがよく分かります。著者の経験に基づいた事例の数々は現実味があり、将来への備えを考えさせられる内容でした。「住活」という言葉が示す通り、老後の住まいを確保することは人生の安心を得るための第一歩です。この本は、若い世代から高齢者まで全ての人に読んでほしい一冊です。

リンク先では、読者からの高評価が多く寄せられています。本書に書かれている内容を実践すれば、老後の住まいに関する不安が軽減されるだけでなく、具体的な行動指針を得ることができます。ぜひ、この本を手に取って、未来の自分のために行動を始めてみてください。

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