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『THINK FUTURE 「未来」から逆算する生き方』ハル・ハーシュフィールド

概要

『THINK FUTURE』は、私たちが未来の自分をどのように捉えているか、そしてなぜ未来の自分をないがしろにしてしまうのかを解明し、そのギャップを埋めるための実践的な方法を紹介した一冊です。著者のハル・ハーシュフィールドさんはUCLAの心理学教授であり、未来の自己をテーマにした研究で世界的に注目されています。

本書は「なぜ貯金やダイエットが続かないのか?」といった日常の問題からスタートし、人間が未来をどう捉え、行動に移すのかを科学的に分析しています。「未来の自分を他人のように見てしまう心理」が鍵となり、これが先延ばしや現在の欲求に負けてしまう原因だと指摘します。そして、未来と現在の自分をつなげることで、目標達成がしやすくなることを多くの研究と実例を交えて解説しています。

本書では、具体的な対策として「未来の自分を視覚化する」「未来の行動を簡単にする環境づくり」など、誰でもすぐに実践できる方法も豊富に紹介されています。未来を逆算して行動する力を養うことで、人生の質を向上させる一冊です。

本のジャンル

自己啓発、心理学、ライフスタイル、メンタル・マインドフルネス

要約

1. 人はなぜ「未来の自分」をないがしろにするのか?

私たちは未来を意識して計画を立てることがありますが、いざ行動に移すとなると「今の自分」を優先してしまいます。たとえば、ダイエット中に甘いものを我慢しようと決めても、「今食べたい」という気持ちに負けてしまうことがあるでしょう。この理由は、私たちが未来の自分を「他人のように感じてしまう」からです。

著者が行ったMRI実験では、参加者が「未来の自分」について考える時、脳の反応が「他者」について考える時と非常に似ていることが判明しました。この結果から分かるように、未来の自分は「別人のような存在」として認識されてしまうため、その人のために努力することが難しくなってしまうのです。

さらに、人間は本質的に「利己的な存在」であり、今の自分の幸福を優先しがちです。未来のための行動は、目の前の快楽や欲求と競わなくてはならず、努力が続かない原因となります。

2. 未来の自分を無視する「3つの脳のミス」

本書では、私たちが未来の自分を無視してしまう原因を「3つの脳内タイムトラベルのミス」として説明しています。

(1) 現在に注目しすぎるミス

現在の状況や欲求は非常に具体的で分かりやすい一方、未来のことは不確実で曖昧です。そのため、今の欲求を満たすことを優先してしまいます。

例えば、「宝くじで10万円が当たった」とします。1年待てば全額もらえるが、今すぐ手数料を払えば少し減額されて9万9000円を受け取れる場合、多くの人は「今すぐ」を選びます。時間が近づくほど「すぐ手に入れたい」という気持ちが強くなる心理が働くのです。

(2) うわべだけ未来を考えるミス

未来について考える時、多くの人は「なんとなく」イメージするだけで終わってしまいます。たとえば、「後でやる気が出るだろう」と考え、面倒なタスクを先延ばしにしてしまうことです。しかし、未来の自分も今の自分と同じように面倒くさいと感じるため、結果的に行動できなくなります。

(3) 未来が現在と異なる可能性を無視するミス

「プロジェクションバイアス」と「歴史の終わり幻想」が関係しています。プロジェクションバイアスは、現在の感情や状況を未来にそのまま当てはめてしまう心理です。例えば、空腹時にスーパーで買い物をすると、必要以上に食料を買いすぎてしまいます。

一方、「歴史の終わり幻想」は、今の自分の性格や好みは未来も変わらないだろうと考えてしまうことです。過去の自分を振り返れば、趣味や性格は少しずつ変化しているはずです。それにもかかわらず、未来については「今のままだろう」と錯覚してしまうのです。

3. 未来と現在の自分をつなげる方法

では、どうすれば未来の自分と親密になり、行動に移せるのでしょうか?著者は、次のような具体的な方法を提案しています。

(1) 未来の自分を視覚化する

未来の自分の姿を具体的に想像することで、未来が現実の延長として感じられるようになります。著者が紹介する研究では、自分の老いた姿の写真を見た人々は、貯蓄意欲が高まったり、健康意識が向上したという結果が得られています。

例えば、ケニアの農村で行われた調査では、将来の自分を想像するトレーニングを受けた女性たちが、貯蓄額を増やしたり、健康的な生活習慣を取り入れるようになりました。

(2) 行動までのステップを簡単にする

人間は「面倒くさい」と感じると行動を後回しにしてしまいます。そのため、行動するまでの障壁を減らす工夫が必要です。例えば、ダイエットをするなら運動着やシューズをすぐに手に取れる場所に置く。勉強を習慣化するなら、参考書を机の上に開いた状態で置いておくなどです。

こうした工夫をすることで、未来の自分のための行動が自然と継続できるようになります。

まとめと感想

『THINK FUTURE』は、未来の自分との関係を見直すことで、目標達成や人生の質を向上させる方法を具体的に解説しています。「先延ばし癖」や「途中で挫折してしまう」ことに悩む人にとって、未来の自分を他人ではなく「大切な存在」として考えることの重要性がよく分かります。

私自身も、未来の自分を想像することで行動が変わった経験があります。例えば、将来の健康を考え、運動や食事管理を始めた結果、体調が良くなり日々の生活が充実するようになりました。本書で紹介されている「未来の自分の写真を見る」方法や「行動しやすい環境を整える」工夫は、誰でもすぐに実践できるものです。

ネット上でも「行動が変わった」「未来に対する意識が高まった」と高評価が多く、評判の良い一冊です。将来のために今の行動を変えたい方におすすめします。

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