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PR、翻訳家、ライター、今泉渚の妄想書店です。愉快な仲間たちとブックレビューを書いています。

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最近の記事

ずっとお城で暮らしてる

少女の無垢さが、不気味だったりグロテスクだったり邪悪だったりする何かと融合して、渾然一体になっている小説なり映画なりが大好きだ。例を挙げるなら、ピーター・ウィアー監督の『ピクニックat ハンギングロック』、ヤロミール・イレシュ監督の『ヴァレリエの不思議な一週間』(これにはすごい邦題が付いていて:闇のバイブル 聖少女の詩)、テリー・ギリアム監督の『タイドランド』、『サスぺリア』はそのまますぎるかもしれないけれどでも好きで、最近ぐぐっと来たのはカルロス・ベルムト監督の『マジック・

    • ELLE MARIAGE

      ELLE MARIAGE No. 29 で本の紹介をしています。 仲直りのための本、ラブラブ度を高める本、長い人生楽しくやっていくための本、3冊をピックアップしました。人様の幸せに水を差してはいけないと気負い、ちょっと真面目に書き過ぎてしまった感がありますが、紹介している本はいつもながら最高です! いい結婚の秘訣もちらりと語っております、独身だけどねっ!

      • Fire and Ice by Robert Frost Some say the world will end in fire, Some say in ice. I hold with those who favor fire. But if it had to perish twice, I think I know enough of hate To say that for destruction ice Is also great And would suffic

        • アウステルリッツ

          レアード・ハントの『優しい鬼』を読んで、最後の方の展開とか、「あー、なんか、これゼーバルトっぽいなあ」と思っていたら、なんと本当にゼーバルトの影響を受けていたと訳者の柴田元幸さんのあとがきに書いてあって、「自分すごい!」と思ったけれど、誰に言ったところで、ふーん、なのでこうやってブログに書いて発散するのです。皆さま、明けましておめでとうございます。 20世紀に書かれた偉大な文学作品100を挙げろと言われたら絶対に入れたいのが、この W.G. ゼーバルトの『アウステルリッツ』

          読書狂時代 VOL. 4

          TOKYO WISE での連載、『読書狂時代』が更新されました。 タイトルはもちろん、レイモンド・カーヴァ―の『頼むから静かにしてくれ』のオマージュ。割と真剣にミランダ・ジュライの新作 FIRST BAD MAN(『最初の悪い男』)について語っております。やはり「おちんちん」はOKでも、「おまんこ」と言えない世の中はおかしい気がします。 そんな話は全くしてないけど。 にしても、ナガシマアヤカさんのイラストが素敵過ぎる。 読んでね!

          読書狂時代 VOL. 4

          むずかしい年ごろ

          「ゴーゴリ―、ブルガーコフの怪奇・幻想の系譜を継ぎながら、現代の恐怖を斬新に描き、ロシアを震撼させた女性作家登場!」というコピーと、美しく不気味なおおたはるかさんの装画に魅かれて購入。我ながら、河出書房新社の担当者の手のひらに転がされてる感半端ない本の選び方……。 『むずかしい年ごろ』はアンナ・スタロビネツが26歳の時出版した処女作品集で、この一冊により「ロシアのホラー作家」という地位を築いたそう。が、内容がホラーっぽいかというとそうでもなくて、不条理・幻想小説とSFのハイ

          むずかしい年ごろ

          独白するユニバーサル横メルカトル

          死体は週に一回の割合で運び込まれてきた。 俺はその都度、奴らを解体し、生で使用する部分とシチューやカレーにする部分とに分けていった。生食するのは肉に残っているミネラルなどを補給するためだという。内臓は特に指示がない限りはディスポーザーに捨てた。 オメガの食欲は凄まじく、人間ひとりをほぼ三日で食い尽くした。 「通常、大人ひとりで一ヶ月分の食糧になると言われているそうだ」 (『Ω の聖餐』) 「好きなアイドルはいますか?」という質問に、どうしても「平山夢明」と答えたくなってしま

          独白するユニバーサル横メルカトル

          NEXT WEEKEND

          単なる文学オタクの私が出てしまって大丈夫だろうか、と一瞬不安になるぐらい素敵な雑誌に寄稿させて頂きました。とっておきの『本を読む場所』を紹介しております。一軒は本当に紹介したくないぐらいに好きな場所です。他の一軒も素敵だけど遠く、もう一軒は前にも別のことろで紹介したけれどまだ足りないので再び紹介です。 読んでね! それにしても、そろそろカレーの仕事が来ないものか。。。

          NEXT WEEKEND

          イン・ザ・ペニー・アーケード

          ミルハウザーと同じぐらい、ミルハウザーが好きな自分も好きで、それは何故だろうとずっと分からないでいた。魔術師、百貨店、機械人形、移動遊園地など、ミルハウザーの描く一種怪しげで魅惑的な世界に魅かれていたのはもちろんなのだけど、決してそれだけじゃなくて、なんだろう自分という存在の根幹に関わるような……。そして最近改めて全作品を読み返してみたら、その理由がなんとなく分かった。ミルハウザーを読むことは、ある種の生き方に対する決意表明で、そしてそれはまさに表題作の『イン・ザ・ペニー・ア

          イン・ザ・ペニー・アーケード

          Marisol 11月号

          Marisol 11月号にて、本の紹介をさせて頂いております。 その名も、『オノマトペで選ぶ女の読書案内』。ファッション誌にも関わらず、容赦なくハードコアな本をチョイスしていますので是非読んで下さい。 アンチエイジングは心にも必要、と思う今日この頃。

          Marisol 11月号

          『アッシャー家の崩壊/黄金虫』

          ポーは謎だ。といっても、孤高の天才という単純なイメージからそう思うわけではない。あらゆる文学ジャンルに足跡を残す天才型でありながら、同時に、世間のニーズに眼鼻の利く職業人的文筆家(かつ編集者)でもあることが謎。さらにいえば、ロマン主義の系譜を引く作品を多く生み出し(しかもフランス象徴派に影響を与え)ながら、当人は霊感も詩神の恩寵もあてにしない徹底した合理主義者であるという二面性が謎なのだ。 ポーが自作の詩「大鴉」(本書収録)を題材にしてその創作過程を詳細に解説した詩論をもの

          『アッシャー家の崩壊/黄金虫』

          アレクサンドリア四重奏I:ジュスティーヌ

          本とカレーをテーマにしている Instagram のカレー率が大きいため、本仲間と顔を合わせるたびに「最近、本読んでないの?」などと聞かれるのですがこの夏はひたすら『白鯨』を読むということをしていて、ただ今二巡目。ナボコフ・マラソンもゴールが見えて来て、今年の読書は量より質的な感じで非常に満足しております。が、面白い新刊も読みたいな。ちなみに今一番気になっているのは、 Colson Whitehead です。はい。 『白鯨』の傍ら、ふとこの夏読み直したのが本書、ロレンス・ダ

          アレクサンドリア四重奏I:ジュスティーヌ

          BLUE MOTIONS

          『曰く“書棚を見れば、その男性(ひと)がわかる” 女性読書狂が勧める傑作アメリカ文学選』というタイトルで OCEANUS Style Magazine BLUE MOTIONS に寄稿させて頂きました。内容は得意なアメリカ文学!これ読んだら絶対に30%ぐらいはいい男度がアップすると固く信じております。 読んでね♡

          BLUE MOTIONS

          ならずものがやってくる

          多分、この作家の一番キャッチーな紹介方法はこれでしょう。「スティーブ・ジョブスの元カノ」。スティーブ・ジョブスといえば、ダニー・ボイル監督の「スティーブ・ジョブス」を出張帰りの飛行機の中で観て、あまりの嫌なヤツぶりに気持ちが悪くなったという事件が個人的には記憶に新しいのですが、二人が付き合っていたのはイーガンが超名門ペンシルヴァニア大学の学生だった頃。なんと発売したばかりのマッキントッシュをジョブスが直々にデリバリー&セットアップしたそう。ちなみにご本人はジョディー・フォスタ

          ならずものがやってくる

          読書狂時代 VOL. 3

          読書狂時代、今回はブックカフェについて語っております。ブックカフェというのは、「私、本好きなんです~」という人が、東野圭吾なんかを読む場所だと思っております。 本棚に、愛を!

          読書狂時代 VOL. 3

          僕の名はアラム

          アルメニア移民の子として、アメリカはカリフォルニア州フレズノに育った少年アラム・ガログラニアンが、個性豊かな一族の面々や友人、学校の先生などを巻き込んで引き起こす騒動と心の交流を描いた連作短編集。 と書くと、なにやらトム・ソーヤ流のグッド・バッド・ボーイもののようだが、そしてそう受け取っても間違いとはいえないのだが、それだけではこの作品の魅力をじゅうぶんに伝えられない。実はぼく自身、そんな予断をもって読み始めた。やんちゃな少年が親や先生の期待を表面的には裏切りながらも、彼ら

          僕の名はアラム