偶然の出会いに乾杯
”セレンディピティ”という言葉をご存知だろうか.
私はこの言葉を,研究していた分野の本で読んだ.
人工知能は多くのデータを取り扱うのが得意である.
そのため,それぞれのデータの特徴量から計算し,多くの選択肢の中から類似度が高いものを推薦するようなシステムも可能である.
しかし,ただ近いものを推薦するだけでは面白みがない.
そこで普段は気付かない意外性(セレンディピティ)が必要だとなるのだ.
ここまで思い出し,ふと疑問に思った.
”セレンディピティ”という単語は一般的なのだろうか.
私は他で聞いたことがなかったのだ.
調べてみると,イギリスの政治家かつ小説家が,子供のときに読んだ童話『セレンディップの3人の王子(The Three Princes of Serendip)』から作った造語らしい.
語の説明は以下ように書かれていた.
素敵な偶然に出会ったり,予想外のものを発見すること.
また,何かを探しているときに,探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること.
平たく言うと,ふとした偶然をきっかけに,幸運をつかみ取ることである.
こうゆうことって,結構よくある.
普段と違う道を行ったら,素敵なお店を見つけた.
カフェにいたら,たまたま隣にいた人と話が盛り上がった.
電車で寝過ごしたけど,窓の外には素敵な景色を見ることが出来た.
そんな,普段の生活の中でも,予想だにしない出来事に遭遇することがある.自身がそうしたいと望んだわけではない.でも意識的に行ったところで,同じことが発生するかは分からない.
人工知能の専門書には”意外性”の三文字に収まっていた.
しかしこんなにも豊かな意味を持つなんて,今回調べなければ気付くことはなかっただろう.
これもまた,セレンディピティである.
でもそれも自身に余裕がなかったら,予定外れの事象でしかない.
そんなもの求めていなかった.
予定が狂ってしまった.
そんな風に考えるよりも,
これもまた面白いかも.
色んな意味で幅が広がったな.
そんな風に,朗らかでいたいものである.
これを書くに至ったきっかけだって,タイプミスで初見の言葉を見つけたからである.そんなちょこっとしたことだけれど,楽しめたらいいのだ.