不意打ち
ある日、警察が病院にやって来た。
「亡くなった人の身元が不明で、体内から睡眠薬が検出されたんです。そちらの患者さんじゃないか確認してもらえませんか」
ヒョイと見せられた写真には、道端に横たわる人と、顔写真のアップ。
「これって、どういう状況ですか?」
「飛び降りです」
それ先に言ってよ……。
幸いに、と言っていいか分からないが、損傷の目立たない遺体で助かったが、もっと激しい損傷のある写真だったら………。警察のあの軽い動きからすると、そういうショッキングな写真でも、ヒョイと見せられたのではなかろうか……。
警察官は、そういう光景を見慣れているんだろうけど……。
職業的に慣れていることでも、他の人には決してそうではない。
あぁ、これって医療でも同じだよな。
こちらにとっては、よくきく話、みなれた症状でも、患者さんや家族にとってはビックリ仰天一大事。
このことは忘れないようにしたい。
(ちなみに、冒頭で亡くなったかたは当院と縁のない人であった)
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