間違いを恐れ、模範解答する依存症患者さんたち
依存症の患者さんに治療プログラムの一環でレポートや感想文を書いてもらうときに気になることがある。
それは「模範解答を書こうとする」ことだ。
たとえば退院後の生活に取り入れることは何かという問い。テストでもクイズでもないのに、なにか正解があるかのような感覚で、「趣味」「運動」というきれいな回答を書いてしまう。
私が、
「趣味、良いですねぇ。なにか好きなことがあるんですか?」
と尋ねると、
「いや……、特に……、これからなにか見つけないと」
とまぁ、こういう感じである。
「模範解答」を書いてしまう理由はさまざまだろう。
自分の考えに自信がない。
「間違い」を注意・叱責されるのが怖い。
何にでも「正解」があると思いこんでいる。
他にもたくさんありそうだが、そのどれもが「依存症」という病気を引き寄せた要因になるのではなかろうか。
こうした要因を発見し、思考パターンを変えたり、新たな行動を身につけたりすれば、依存症の再発から少し遠ざかることができるはずだ。
患者さんの言動をこういう視点で見るように心がけることは、援助にとって大いに有用だろうし、援助者の成長にもつながると思う。
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