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人生損してる? ほっとけ!!
精神科医なりたての女性医師から、
「療養病棟のあの若い患者さん、外見が良くて、知能も高いのに、こういう生活はもったいないと感じてしまいます。なにかできることがあるのではないでしょうか」
と相談を受けたので、こんな話をした。
食べ物の好き嫌いの話題になると、「えーっ! 〇〇が食べれないの!? もったいない! 人生損してる!!」なんて言う人がいるよね。
「ほっとけ!」って思わない?
自分なりに、好きなものを食べ、嫌いなものを避けた食生活に不満はないのに、「もったいない」とか「損してる」とか言われるのって心外でしょ。
その人なりの生活観や人生観にそぐわない苦しみや悩みがあるなら、それを取り除く手伝いをする。逆にその人が満足しているなら余計なことはせず、見守る。
こんな感じでいいのではないかな。
彼女は、はぁ……なるほど……と、分かったような分からないような顔をしていた。
患者さんの新たな能力を開発したり、損なわれた能力を補ったり、今ある能力を伸ばしたり……、こういうことが自分の携わる医療の範囲に入ると考えるなら手を出さねばならない。
しかし、自分の価値観や人生観が医療の仮面をかぶって患者さんの人生に侵入しようとしていないか、ということには自覚的でありたい。