いわゆる「赤ちゃんポスト」について、私は強い意見を持たない。なんとなく「大丈夫かな?」という気持ちがありつつも、「ハームリダクション」という観点からは意義がありそうだ、という想いもある。
本書は、どちらかというと反対に近い視点で語られる。
ただ、一方的に負の側面を書き連ねるというようなスタンスではないので、読者も一定の冷静さを保ちつつ読み進めることができると思う。
とはいえ、涙が出るような話も多い。
赤ちゃんポストでは、実の親のことがまったく分からないということもある。実の親を知っていることと、分からないままでいることの違いについて、ある福祉関係者の話。
また、赤ちゃんポストではないが、ある産婦人科医院の前に置き去りにされた女性はこう語る。
赤ちゃんが預けられる理由はさまざまで、中には「え……?」と思うようなものもあるが、ほとんどのケースで「無責任な男性」の存在がありそうだ。