J.K.ローリングにガッカリ……
私の大好きな物語『ハリー・ポッター』の作者であるJ.K.ローリングが、オリンピックの女子ボクシング、アルジェリア代表のImane Khelif(以下、ケリフ選手)に対するネットハラスメントの加害者として、ケリフ選手から刑事告訴されたらしい。
この問題、最初は「ケリフ選手はトランスジェンダーで、もとは男性である」という噂から始まり、途中からは「出生時には女性と診断されたが、国際ボクシング協会(IBA)の検査で性染色体がXYと判明した」という話になった。
私も最初は噂に引っかかって「男が女子競技に出るなんて!」と腹立たしく思った。ところが、ちょっと調べただけでも、事実誤認や信憑性のない話がゴロゴロあった。
私なりにネット上で得たことを、すごくシンプルにまとめる。
まずIBAという組織の信頼性が非常に低い。ロシアとの関係が濃く、長年にわたって様々な問題を指摘され続けている。
ケリフ選手が失格になった検査は、彼女がロシアの無敗チャンピオンを倒したあと不意に行われ、その結果、無敗チャンピオンは無敗のままということになった。
ケリフ選手は、出生児に女性と診断され(つまり外性器が女性器だったのだろう)、女性として育てられ、女性として生きている。
現在のところ、XY染色体を持っているという証拠はないが、もしもXY染色体を持っていることが事実だったとしても、彼女の性自認は女性である。
「XY染色体をもつ人の女子競技参加は禁止すべきだ」という批判や議論を繰り返しただけであれば、おそらくローリング女史が告訴されることはなかっただろう。
ケリフ選手について調べる過程で、たまたまローリング女史のツイートを見つけた。そして、ローリング女史の執拗かつ陰湿な個人攻撃に唖然としてしまった。彼女は多くの人から諌められていたが、まったく聞く耳を持たないようだった。
ローリング女史は、他のツイートでも「He」「Man」「Male」という単語を繰り返し使用していた。
かなり悪しざまに書いている。
ここでも「male」と書いている。
これは少々分かりにくいが、私にはとても侮辱的な発言に感じられる。
これだけでなく、異議を唱える人への反論も論理的におかしいものがあった(今回これを書くにあたって探したが見つけきれなかった)。
ローリング女史がしていることは、IOC批判や「XY染色体を持つ人の女子競技参加への異議申し立て」ではなく、ひたすらケリフ選手への個人攻撃、それもかなり陰湿で屈辱的なものである。
女性として生まれ、女性として育てられ、女性として生き、女性と自認している人について「He」「Man」「Male」「男性が女性を殴る」といったことを繰り返し書き連ねることが、ハラスメントでなくて、いったい何なのか。
改めてまとめる。
1.IBAの信頼性は低い。
2.ケリフ選手は出生時に女性と診断され、女性として育てられ、女性として生きていて、性自認は女性。
3.ローリング女史は、IOC批判や「XY染色体を持つ人の女子競技参加への異議申し立て」ではなく、ケリフ選手へのハラスメントを繰り返した(それも煽動と言われても仕方ないレベルで)。
あの『ハリー・ポッター』で、マグル、スクイブ、狼人間など、嘲りや忌避の対象になってしまう人たちを優しく温かく描いた人が、まさかここまでひどい個人攻撃をするとはねぇ……。
本当に、ガッカリ。
以下、ローリング女史とはあまり関係ないが、ネット上でケリフ選手が男であると主張する人たちの根拠として、「外見が男」「骨格が男」「仕草が男」というものから、「ファウルカップを着けているから男」、アルジェリアはイスラム教国なのに「ヒジャブを着けていないから男」「男性コーチと抱き合っているから男」「男性コーチに肩車されているから男」というものもあった。
外見や骨格や仕草が男っぽかったら、その人は男であるなんて、どの世界線に生きている人なんだ?
ファウルカップは女性でも着ける。そんなことはネットで調べればすぐ分かる。
ヒジャブについても調べればネットが即答してくれる。アルジェリアはイスラム教国ではあるが、わりと西欧文化に近いようだ。ヒジャブを着けていない人も多いという。男性との接触についても、同じことが言える。
私より詳しく書いておられるNOTEを発見。