【100分de名著を語ろう】折口信夫『古代研究』~①
こんにちは。
10月になりました。今月の「100分de名著」は、民俗学者・文学者の折口信夫の『古代研究』(1929~30)が扱われます。解説とテキストのご担当は、国文学者の上野誠さんです。
先月の『アイヌ神謡集』に続いて、と思われるのですが、日本の文化の古層・深層を探り、現代を「相対化」する狙いがあるかなと思っています。全4回、どうぞおつき合いください。
目次
はじめに 「実感の古代学」で日本文化のルーツを探る
第1回 「他界」と「まれびと」
第2回 国文学の発生
第3回 ほかひびとの芸能史
第4回 「生活の古典」としての民俗学
はじめに 「実感の古代学」で日本文化のルーツを探る
折口信夫 1887(明治20)年、大阪生まれ。1953(昭和28)年没。
「釈迢空」名で歌人としても活躍。
「古代」とは、歴史区分ではなくて「あるものが生まれてくる『瞬間』を指す言葉」。
「神と人との関係」を前提として成立していた日本人の生。
折口学は「円環」として理解すべし
広大な研究・関心領域=①国文学、②民俗学、③芸能研究、④国語学、⑤宗教研究、⑥神道研究、⑦詩歌の創作、⑧小説、⑨評論
他界へのあこがれ→他界からやって来るまれびと→まれびとへのもてなし→もてなしから生まれる文化→
「実感」の重要性
「まず疑問をもつ」という姿勢ではなく、ひとまず自分の体の中に収める=「信ずる」ことを大切にする
第1回 「他界」と「まれびと」
①「他界」と「実感」の学問
学問の基点としての「他界」(=天国、極楽、常世の国、根の国、黄泉の国)へのあこがれがある。
「他界」とは、現実社会を映す鏡:「死んだらどこへ行くのか」を考えることは、「どう生きていくべきかを考えること」。
実感の古代学
②神であり、人である「まれびと」
稀+人
「ひと」=「神」や「継承者」を含む
「異郷」からやってくる
神のやって来る場所としての「他界」
やって来る「まれびと」を、どうもてなすのか→文化や習慣、行事が生まれる
③日本文化は「おもてなし」から始まった
まれびと=稀にやって来る大事なお客さま
相応の準備、もてなし→文化の発生
④身を清めて、祝う
いはふ=魂を鎮めるために精進潔斎すること
=やって来る「まれびと」を待つために必要な行為
⑤神さまを招くための「目印」
「祀る」、お祭りの本来の目的は、「神さまに感謝して、供え物を捧げる」こと。
⑥さまざまな神と祭り
「外」からやって来る来訪神
日本人にとっての神=遠くからやって来るもの
人と人との関係、人と神との関係こそが「文化」
私的な考察(=邪推)
ウチ/ソトの基準は何か。
外部への畏れ、敬虔=外来文化の尊重と、それの摂取に尽力したことの原型を成している
「大王崎」での「ふるさと」体験=折口は「海洋民族」?(→柳田は山の民?)
閉会後の追記
※余裕があれば、追記いたします。
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今回は以上です。最後までお読みくださり、ありがとうございました。それではまた!