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出版社に企画をダイレクトに送る方法は?
こんばんわ! ブックダム編集長の三田です。
こんな寒い夜に、SANDAカフェの記事を更新します。
温かなひと時を過ごしていただけたら嬉しいです。
以前、出版社とつながるためにコーディネーターさんと繋がり、企画をつくり、出版社にアプローチする方法について書きました。
今回は、そうではなく、ダイレクトに出版社に企画を送る方法について、出版社の人間としての視点から解説していきます。
▼編集者の業務実態を理解する
まず、さきほどの記事でも触れましたが、編集者には年間5から10点の刊行目標があり、基本的に多忙です。このことを理解しておくことで、どのような準備が必要か、そしてどのようにアプローチすべきかが見えてきます。
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▼効果的な企画書とサンプル文書の準備
編集者がメールやDMを見て「おもしろそう」と判断しやすいよう、以下の要素を含む企画書を作成しましょう
仮タイトル
企画意図
マーケティングデータ&プラン
自身のプロフィール
類書との差別化ポイント
類書がクリアできていない課題
企画した本が目指す未来
目次
コンセプト(会話形式、見開き型、文字もの、導入漫画)
企画書の目安はワード原稿2から3枚分です。
▼サンプル原稿の重要性
さらにイメージしやすいように3000字程度のサンプル原稿を作成することをお勧めします。AI時代となった今、誰でもある程度の文章はかけます。
↑文書作成AI Claudeはまるで人間が書いたように文章を書いてしまう。
それよりも重要なのは著者独自のコンテンツ力です。
例えば、SNSのコンテンツ作りにおいて、独自のアカウントストーリー作成ロジックを持っており、それに基づく運用で実績を出している場合、そこにフォーカスしたサンプル原稿を作成することで、より魅力的な提案となります。
▼編集者へのコンタクト方法
■意外と見られない! 問い合わせコーナー
よく質問をうけるのが、「出版社のホームページの問い合わせページに企画を送るのは、ありか?」ということです。
結論からお伝えすると、「企画を送ってもいいけれど、見られる可能性は低いかもしれない」ということです。
大体出版社の窓口ページは、他部署の方が見ています。
そこに企画書がおくられてくるとメーリングリストなどを使って、編集者に企画が来た旨連絡を回しますが、それぞれの編集者は締め切りや、自身の考案した企画で一杯いっぱいなのでそのメールを開くことはありません。
件名に
【必見】1分でできる! 神メンタルの作り方
とか
【1万人を導くことに成功!】リーダーシップ大全100
みたいな文言があると 「お?」となるかもしれませんが、業務メールでまさかそんなことは起こりません。
企画書が添付されたメーリスはほぼ見られないと考えたほうが良いでしょう。
■SNS(特にX)の活用
現代の編集者は書籍制作+マーケティングを行っている方が多数です。
そして、年間約7万点以上とも言われる出版点数が物語っているように、出版業界では生み出される本がたくさんあります。その中に埋没しないように、本をPRしないといけません。
自社の刊行物だけでも毎月10点ほどある会社が多数です。
それぞれの会社のリソースや資産は限られています。となれば力を入れる商品は一部のもの。
あとは、売れたら追いかけることになりがち。
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だからこそ、売れるために編集者みずからSNSで発信し、新刊の存在感を上げるという流れになっています。
ということは、SNSのアカウントを持っている編集者は数多くいるということになります。そのアカウントにDMを送ることで理論上編集者に直接繋がり企画を送ることはできます。
実際、X(旧Twitter)では、検索窓に編集者と打ち込むと多くヒットします。
私自身もXを通じて3件の企画を出版に結びつけた経験があります。
■企画を送付する時に気を付けること
編集者に企画を送付する前に、その編集者が手掛けてきた作品をSNSのアカウントから確認しましょう。
ジャンルは何がおおいか?
文字もの? 漫画? イラスト物? ライトな作品?
などたどることで見えてくることはたくさんあります。
その編集者がつくったことがないものを提案しても「やろう!」とはならない確率が高いですし、会社によってはそれぞれの編集者に予算をつけ、ジャンルを固めているケースもあります。
たとえばAさんにはビジネス書を年間10点、Bさんには実用書を年間5点、Cさんには文芸書を年間5点といった感じです。
ここで、私が採用できなかった企画について、具体的にお話ししたいと思います。
実は、私のところにも何件か企画を持ち込んでいただいたことがありました。しかし、残念ながらお断りせざるを得なかったケースが主に2つあります。
1つ目は、私の強み以外の企画を持ち込まれたときでした。
例えば、実用書の企画をいただいたのですが、当時の私はまだ1点も実用書を手がけたことがなく、完成のイメージを描くことができませんでした。
加えて、会社から予算も提示されているため、なかなか他ジャンルに手を出すことができない事情もありました。また、正直なところ、他のカテゴリーを担当している編集者と自社内でカニバリ(共食い)を起こしたくないという思いもありました。
2つ目は、企画書が完成していない段階でご相談いただいた場合です。
アイデアベースでお話をいただいたときは「申し訳ありませんが、企画書を作っていただいた上でお声がけいただけると助かります」とお返事させていただきました。
ただ、これが相手の方には単なる「断り文句」として受け取られてしまったようで、以降ご連絡をいただくことはありませんでした。
このような経験から、編集者に直接連絡を取る際は、必ず企画書を用意しておくことをお勧めします。そうすることで、編集者も可否を早めにお返事できると思います。
▼まとめ
重要なのは、事前の準備と相手の立場に立った提案方法です。
具体的な企画書とサンプル原稿を用意し、編集者の専門性に合わせたアプローチを心がけることで、成功の可能性が高まります。
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