[本055]『はなのしずく』
著者:椿宗介、出版社:フレーベル館
重い病気のお母さんのために、幼いカエルのけろは、薬をさがしてまわります。しかし、動物たちにきいても薬は見つかりません。すると、ふくろうがとても良い情報を教えてくれました。
「つゆくさの はなから したたりおちる あおい しずくを、 よるの あいだに あつめて のむべし」
しかし、つゆくさは昼間しか咲かないので夜に花は咲いていません。それでも、けろは毎晩毎晩お母さんのためにつゆくさを探します。
健気なケロに、涙が出そうになります。優しくて強いけろの絵本です。
この絵本の内容も素敵なのですが、椿さんのあとがきを読むと、そうだったんだ...と、思います。椿さんが、小学校5年生のとき、氷点下18度の収容所の部屋で母の神経痛の痛みをやわらげるため、石炭を手にし、月にあるお願いをしました。そのときの原体験がこの物語を生んだんですね。
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