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【本072】『すべてには時がある』

著者:若松英輔 小友聡、出版社:NHK出版

私が敬愛する作家の一人が若松英輔さん。「言葉」をめぐる著書が数多く、特に『悲しみの秘義』は、私にとって人生に傍におく大切な一冊になっています。

若松さんはクリスチャンなので、キリスト教にまつわる書物も多く出版されています。今日はその中の一冊『すべてには時がある 旧約聖書「コヘレトの言葉」をめぐる対話』を紹介しようと思います。

本を読み進めていくと、今までに何度か聞いたことのあるフレーズに出会います。そのひとつが下記の詩。

「生まれるに時があり、死ぬに時がある。
 植えるに時があり、抜くに時がある。
 〜 
 泣くに時があり、笑うに時がある。
 嘆くに時があり、踊るに時がある。
 〜」

私たちの人生は、様々な時の積み重ねによって作られています。しかし、私たちは、いつ何がどんな状態で訪れるのか予想がつきません。そう、良い時も悪い時もいろいろとある、それこそが「人生」なんです。

若松さんはこう言います。

「「コヘレトの言葉」が私たちに囁きかけてくれるのは、「安心して苦しめ」というとこなんです。「苦しめ、苦しめ」といっているわけでもなく「生きろ、生きろ」といっているわけでもない。安心して苦しみ、安心して生きよ、といってくれている気がします。」

神さまが与えた「時」の中に私たちの命があり、人生があります。つまり、良いことも、悪いことも様々おきる「時」の中に私たちは身を委ねているんです。

「安心して苦しみ、生きよ」、素敵な言葉だと思いませんか。大きな時の流れの中で、私たちは生きている。生かされている。だからこそどんな時も大丈夫なんだ、この本を読んで、そのことがストンと心の中に落ちました。

これはほんの一部。他にもコヘレトのメッセージを様々解説しています。ぜひ、読んでみてくださいね。


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