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[本062]『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
著者:東野圭吾、出版社:角川文庫
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は、私の心に深く残った小説の1つです。
廃業しているはずのナミヤ雑貨店に逃げ込んだ敦也たち3人は、時空を超え1980年の住人と手紙をやりとりするようになります。悩みを抱えた人たちがナミヤ雑貨店に投函する手紙。当時の雑貨店の店主がそうしていたように、敦也たちも悩みの相談にのっていきます。相談者の人たちはいろいろな形でつながっていて、小さなお話の集まりでありながらも、全体で大きな流れになっています。
いろいろと好きなところはあるけれど、私は、店主の浪矢雄治が語ったこの言葉に深く共感しました。
「大事なのは、あの時のわしの回答が本当に正解だったかどうかだ。いや、あの時だけじゃない。これまでに書いてきた無数の回答が、それぞれの相談者たちにとってどうだったのかが重要なんだ。」
自分の言葉が相手の人生を大きく変えることがあります。時に言葉はそれだけ強い影響力を持つものです。私も、たくさんの人たちの相談にのってきて...それが本当によかったのか悩むことも、時に後悔することも。
店主が強く願ったように、あの子たちのその後の人生を知りたいって、私も強く願います。