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【中高生向け書籍紹介ブックバディ】「桐島、部活やめるってよ」- 青春の岐路に立つ高校生たちの本音と成長の物語

はじめに

皆さんは部活動や学校生活の中で「これでいいのかな」「周りと違う選択をしても大丈夫かな」と悩んでいませんか。今回ご紹介する朝井リョウさんの「桐島、部活やめるってよ」というちょっと変わったタイトルの小説は、そんな悩みに静かに寄り添ってくれる一冊です。
この作品に登場する等身大の高校生の目線で、自分の本当にやりたいことや、その選択に対する不安、周囲との関係性について考えるきっかけを得られます。この物語は、あなたの悩みに寄り添いながら、新しい一歩を踏み出すヒントを与えてくれるはずです。

朝井さんの紡ぐ文章はどれもが美しく結晶のように輝いています。一文一文をぜひゆっくりと味わってもらえたら嬉しいです。

Amazon 桐島、部活やめるってよ https://www.amazon.co.jp/dp/B00A773H60

「桐島、部活やめるってよ」をより楽しむためのガイド

バレー部のエース・桐島が突然部活を辞めたという出来事から物語は幕を開けます。「なぜ?」という単純な疑問が、部員たちの心に大きな波紋を広げていきます。誰もが当たり前だと思っていた日常が、この決定をきっかけに少しずつ変化していく様子が、複数の視点から描かれていきます。

学校の中心的存在だった桐島の決定は、周囲の生徒たちにさまざまな影響を与えます。「やるべきこと」と「やりたいこと」の間で揺れ動く心、周囲の期待との向き合い方、そして自分らしい選択をすることへの不安―これらのテーマが、リアルな学校生活を背景に展開されていきます。

きっと皆さんは自分自身を登場人物の誰かに重ね、想いを馳せることができるはずです。

この記事では2人のエピソードをご紹介します。

バレー部・小泉風助の風助の視点

桐島が部活に来なくなったことで、控えリベロだった風助にレギュラーのチャンスが訪れます。
桐島が来なくなったショックや寂しさと、同時に手にしたレギュラーのポジションに、風助の心は揺れます。

悲しそうな、残念そうな顔をしろ。耳元で、俺が俺に囁いた。

「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ

部長になって以来、その厳しさから部員との距離が生まれていた桐島。
同じリベロで練習する機会の多かった風助は、桐島の純粋でどこまでもストイックな一面を知っていたからこそ、彼が部活に来なくなった事実を複雑に受け止めます。

タイムアウトのたびに、桐島は上気した顔で俺のところまで走ってくる。 「なんかないか?」 どこがあかんかった? 桐島はタオルで汗を 拭きながら、俺に意見を求めてくる。マネージャーからよく冷えたアクエリアスを受け取りながら、同じリベロとして、俺にダメ出しをしろと言ってくる。 ニカッという音が聞こえる。
(中略)
白いラインを背負ったまま、タオルを俺に渡して、小走りでコートへ戻っていくんだ。ぽふん、とやわらかいタオルの感触でなんだか幕を下ろされたような気がして、俺はまたその輝くコートを外側から見つめる。
輝くコート、
違う、
桐島が輝いているんだ。

「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ

周囲の期待に応えることの重圧と、自分の本当の気持ちとの葛藤が描かれます。

映画部・前田涼也の視点

映画部の涼也は部活動に打ち込む仲間たちを横目に見ながら、自分の情熱の向け方や居場所について悩みます。

映画部のところで、なんとなく空気が変わる。ちょっとしたざわめきも、僕にとっては大きく聞こえる。
(中略)
映画部ってなに? そんなんあったん? 聞こえる、全部聞こえてくる。言ってなくても、言っている。空気が。お前達は目立っちゃいけないって、聞こえてくる。

「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ

クラスの中で自分は誰よりも「下」だと自覚している涼也は、自分の好きな映画を好きだと、自信を持って言えないでいます。

それでも、自分と「同じ」だと認識している映画部の友人・武文との交流を重ねて、少しずつ自身の気持ちに向き合おうとします。

体育でチームメイトに迷惑をかけたとき、自分は世界で一番悪いことをしたと感じる。体育でチームメイトに落胆されたとき、自分は世界で一番みっともない存在だと感じる。
(中略)
僕は武文の背中を見ながら思った。大丈夫、サッカー映画を撮りたくなったら、ルールを覚えるところから僕と一緒にやればいいんだから。だから、もうちょっとだけでも、背筋を伸ばして走ろうよ。 世界はこんなに広いんだから。

「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ

「まじめ」に取り組むことの意味を、涼也は独自の視点で考え始めます。
表面的な評価ではなく、本質的な充実感を追求する姿勢が印象的です。

最後に

この小説が教えてくれるのは、「正解」は人それぞれ違うということです。部活や学校生活で悩んでいるなら、この本の登場人物たちの思いに触れることで、自分の進む道のヒントが見つかるかもしれません。
桐島の決断は、周囲の人々に様々な影響を与えましたが、それは同時に各々が自分自身と向き合うきっかけにもなりました。あなたも今、同じような岐路に立っているかもしれません。

今の選択に迷っているあなたへ。すぐに答えは出なくていいのです。時には立ち止まって考えることも、大切な時間になるはずです。この本を通じて、自分の気持ちに正直に向き合う第一歩を踏み出してみませんか?

ブックバディでは、【中高生の世界を読書で広げる】という使命のもと、中高生向けに書籍を紹介しています。
今後も、様々な書籍を紹介していきますので、ぜひご覧いただけますと幸いです。我々の紹介ページもございますので、ぜひご一読ください。


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