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山の上の文章教室④

こちらの続き。

2ヶ月に1回通っている「山の上の文章教室」。「山の上の文章教室」とは、ひとり出版社の先駆けでもある夏葉社の島田潤一郎さんが2023年から開いている文章教室である。

今回で2回目。
8月下旬で日差しはまだまだ強いが、風が少し涼しくなってきたことから秋の気配を感じる。

開始時刻の10分前に到着。
入った瞬間、客間に君臨していた大きな甕がなくなっていることに気付く。流石にスペースをとるから、どこか別の場所に移動させたのかと考えていたら、庭にひっそりと佇んでいた。

8月の上旬まで神奈川近代文学館で開かれていた「庄野順三展」の展示から返ってきたタイミングで、外に出したとのこと。

ちなみにこの甕は、順三さんの師である井伏鱒二さんから譲り受けたもの。偉大な文豪が自分の生活のなかに、少しでも関わっていることが、何だかすこし誇らしかった。

           
         
「山の上の文章教室」は、毎回課題を事前に提出して、それぞれの文章を読み上げ、主催者の島田さんと参加者が意見を述べていくスタイル。

今回の課題のテーマは「友人」

この課題に取り組むさいに気付いたことがある。
私自身、大人になってからできた友人が1人もいないことに・・・

LINEを見返すと社会人になり、新たに追加されたひとたちの名前をみても顔がほとんど思い出せない。おそらく、その場のノリで連絡先を交換しただけで、ほとんどのひとは1回も連絡を取り合っていない。

なぜ大人になってから友人ができなくなったのか?

小学生のときは、昼休みにドッジボールをして、放課後に近所の公園で走り回っているうちに自然と友人になれた。これを大人に置き換えると、一晩中お酒を酌み交わしたり、炎天下のなかでバーベキューをすることが当てはまるのだろうか?

だとしたら私が大人になってから友人ができない理由が分かった。私の場合、家で1人でお酒を呑み、1人焼肉専門店で肉を食べる。

そう、1人で完結してしまうからだ
「こんなんだから大人になってから友人ができないんだよなー」

と思いつつ、これはこれで楽しい。
無理して友人を作るために行動を変えるつもりも、今のところはなかった。
          
      

私が提出した課題内容は、上記のようなことをウダウダと並べたようなものであったが、他の参加者の方々の題材は

パートナーになりたかったが、なれなかった友人
母とその友人
旅先で偶然出逢った、好きが近い友人
学生時代の友人
趣味を通じてできた友人

など、同じ課題でも内容が被ることはなかった。育ってきた環境、見てきたものが違えば、書きたいものも異なってくる。

それにしても皆さん本当に「いい文章」を書く。
私にとっての「いい文章」とは

言葉に重心が乗っていること

巧みなテクニックを散りばめたり、圧倒的な表現力があることではない。参加者の方々の文章からは、自分の気持ちときちんと向き合い、言葉を大切にしていることが伝わってくる。

           

ちなみに島田さんは今、埼玉県にある300ほどある駅をすべてまわろうとしている。仕事なのか、それとも趣味の一環でやっているかはよく分からないが「島田さんらしいエピソードだな~」と、なんだか嬉しくなった。

次に「山の上の文章教室」が行われるのは10月。
都会から離れ秋の色に染まった自然の風景を味わいながら、言葉の世界に浸れるのが今から楽しみだ。

続く


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