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読みやすさについて
■読みやすい作品はいい作品?
今日の記事は「読みやすさ」こそが正義だ、とか、読みにくくとも「美しい文章」であることが正しいのだ、ということに言及するものではありませんので、悪しからず。
読みやすさ、ということについて考えさせられたので、記事にしてみました。
ビジネスや実用的な内容のものについては、「読みやすさ」が求められると思います。
それはこれらが「情報の伝達」を主目的にするものだからです。情報を伝えようとしているのに、難解な文章だったら、「ほんとに伝える気ある?」と読者が怒り出しても仕方ないです。
小説はどうなんでしょう。純文学寄りの作品、エンタメ寄りの作品あると思いますが。「情報を伝達」すると同時に「文章を味わう」ことも含まれます。
小説って、純文学だろうとエンタメだろうと、少なからず自己表現の発露、という側面があるのではと思います。
それを何でなすか、というと文章でするしかないわけで。
読みやすさ、を追及するとそこが犠牲になっていくのかなと。
エンタメなんかはストーリーの推進力と自己表現の両翼をバランスをとらないといけないので、実はとても作品の成立が難しいと思います。
エンタメなのに文章表現が巧みで、豊富な語彙力を武器にして、自分の作品の中に引きこんでしまう作家さんもいますし、文章はシンプルなのに、ストーリーテリングの巧妙さで作品を読ませてしまう作家さんもいます。
要は作品のスタイルって、書き手ごとに千差万別あってもいいんじゃないか、ということです。勿論、文法だったり、小説を書く上でのルールはありますので、それを理解した上で、ということにはなりますが。
時にルールを逸脱することで、とてつもない破壊力をもった作品が生まれることもあるので、ルールも絶対のものではないと思いますが。
ただそれは芸術的な領域の話になるので、私のような凡人には縁がないかなと。
私の文章は「読みにくい」部類に入ると思います。
長文が多いですし、改行少な目、一行空けは場面転換以外では使わない、というスタイルなので。
じゃあなんで読みやすくしないの、と言われると、文章も、改行も一行空けも、すべて表現の一つなんです。句読点も改行も意味で切るだけでなく、書き手の呼吸を示す側面があります。
スピード感のある場面では書き手も乗って、句読点が少なくなったり、畳みかけるような文章になったりします。改行は間がとれるので、余韻をもたせたい場面に短文を多め、改行多めにしてたっぷり余韻をもたせたりとか。
それの最たるものと言うか、分かりやすいのがドストエフスキーの例ですかね。
ドストエフスキーはてんかんもちだったので、発作を起こして、意識を失う前に文章を書けるだけ書こうというところがあって、密度の濃い、文章の区切りの少ない文章が特徴的です。
私は気づくと句読点多めになってしまうので気をつけています。
自分の文章を書きながら読み上げる呼吸で句読点を打つので、場面にのめり込んでいればいるほど、句読点が甘くなるところがあります。
そこは自分の呼吸を大事にしつつ、不要な句読点は削除するようにしています。
単純に、小説においては、読みやすい文章を金科玉条のように掲げるのは好きじゃなくて。
私は書いてあること、ないこと(いわゆる行間ですね)をすべて活用して、一つの作品を作り上げていきたいな~と思っています。
すべてが私の表現なんです。
その作品の上にあることは、句読点の一つに至るまで私の意図であり、そこにあるべきであるからある。作品の中に不要な文字は一つもない、というのが理想です。
私がその作品を書く意味、というものを作品には込めたいと思いますし、世に出ているプロの作品にはそれがあると思います。
ただ、私も読みやすさを意識する部分はありまして、物語の出だし一行目。ここを長文で始めることはできるだけ避け、短文一文でびしっとはめ込んでいます。
ここは、一行目で読者の方を掴んで、引き込んで二行目以降の長文を読んでもらう、という抵抗感を少なくすることを意識しています。やむなく長文で始める場合も、読みにくい文章は極力避けているつもりです。
読みやすさだけが、とか難解な美文こそが、と一方的に主張するのではなく、その双方のバランスをとりつつ、人々に受け入れられる作品こそが私の目指す作品です。純文学のよさとエンタメのよさを相互作用させて化学反応を起こさせる、そんな作品が書きたいなと思います。
これが、私が選んだ創作をする上での自分の信念、とでも言うべきものです。
色々なスタイルで書かれた本を読んできて、自分で書いてきて、選び取った結果のもの、とも言えますね。
私は、自分の今のスタイルを選んでよかったなと思っています。
後は、結果を出すだけです。
ということで、今日は創作について語ってしまいました。
私自身勉強中の身なので、あまり創作論~とか振りかざすことはできないんですけどね。
あくまでも、私の作品スタイルはこんなだよ!
ということで書かせていただきました。
また創作のことで、何か語る機会がありましたら。
では。