誰が為の世界で希う-21
「――お前は亮のことになると冷静さを欠くな。前にも言っただろう。『魔術師は冷静であれ』。思考を放棄しやすくなるし、感情任せになって正しい判断を下せなくなる。魔法が暴走することだってあるんだ。お前は冷静さを欠きそうなときには足を突っ込まないという判断が必要だということを覚えるべきだな」
「……すみません」
豊島区立中央図書館のある建物の、だだっ広い一階ホール。その隅で、二人はガラス張りの壁に背を預けながら話していた。ひとけのない空間に、二人の声が反響する。
「で、笹原はなにを