推し、燃ゆ
〇タイトル
推し、燃ゆ | 読書(89/1000)
著者 宇佐見りん
○感想(※ネタバレを含みます)
・あらすじ
推し(アイドル)がファンを殴ったことにより、芸能界を退くことに。
推しがトラブルを起こしたことに対して、主人公が感じる感情の変化が主人公目線で赤裸々に描かれている。
・焦燥感・躍動感のある文章
場面の移り変わりが非常に激しい上に各場面の情景描写は断片的だが具体的。
その瞬間瞬間の場面と思考が遠回りなく表現されて混じり合う。
場面転換は1ページに1,2回あるほど早い。
現代のSNSのリール機能のように、判断と情報処理が短い速度で短絡的に何度も行われているような雰囲気を感じ取れる。
また、主人公の若さゆえに見えている世界が狭く、情景描写も平易な言葉で言語化されているように感じた。
・個人的な感想
個人的に以下の文章が印象的だった。
「体力やお金や時間、自分の持つものを切り捨てて何かに打ち込む。そのことが、自分自身を浄化するような気がすることがある。辛さと引き換えに何かに注ぎ込み続けるうち、そこに自分の存在価値があるという気がしてくる。」
過去でいうところの宗教、現代のアイドルの推し活。
自分の全てを捧げて全てを委ねることでどこか救われているような感覚を感じている。
そこに理論は存在せずに、推し活に全てをつぎ込むことこそが人生そのもの。
推し活を行う人に対しての価値観が変わる一冊。
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