レビュー「百年の孤独」
2024年売れに売れた「百年の孤独」(ガブリエル・ガルシア=マルケス著 鼓直訳 新潮文庫)を読み終えました。今年8月に読み始めて、何度か読むのを諦めそうになりながらも、ようやく11月に読み切りました。
この達成感、熱量が冷めないよう、この記事では百年の孤独の書評をまとめていきたいと思います!
まずどういうお話しか。ひと言で表すと、僻地マコンド村のブエンディア一族の経過を綴った物語です。
この作品のユニークな特徴としては、
①マジックリアリズム(現実的な事と架空の出来事が共存するかのように描かれている)②過去と現在、未来のことが入り混じった時間構成。③カタカナ表記かつ同じ名前であったり似たような名前の人物がたくさん出てくる。
この①〜③の特徴が世界的に面白いと評価される半面、「挫折本」たる所以にもなっているのではないでしょうか。
次に、読み終えて特に印象に残ったことを2つまとめていきます。
①たくましく魅力的な登場人物。
村を開墾したホセアルカディオブエンディアや
その子どものアウレリャノ大佐を筆頭に、バイタリティ溢れるキャラクターが心に残りました。私の推しは「ウルスラ・イグアラン」です。物語前半では夫(ホセアルカディオブエンディア)の家庭を顧みない研究趣味に振り回され、たびたび、大切な金貨を錬金術で溶かされる姿が印象的です。夫がいなくなってからの中盤では一家の大黒柱として振る舞い、後半では視力を失いながらも嗅覚で全てを見通す超人っぷりを手に入れるも、玄孫(ひ孫の子どもであるアマランタウルスラたち)にぞんざいに扱われます。私も子育てをしており、彼女に共感できる場面が多々ありました。ウルスラの波瀾万丈な人生は読み終えることでしか味わえない追体験だなと感じています。
②小説の自由さ
文庫版583ページにて「文学はひとをからかう最良のおもちゃ」とセリフが出てきました。
亡霊のメルキアデスや魔法のじゅうたん。登場人物らの現実的ではない突飛な死に様。「こんなのアリか」と内心ずっとツッコみながら読んでいたのですが、このセリフが来た時にハッとしました。
以前、「小説、なんで読むの?」というブログ記事を書きました。知らない事を知る。心を揺り動かされる期待を持って、私は物語を読んでいます。この一文は、私にとってかけがえのない経験値となったと思います。
終わりに。題名の通りですが、この作品は「孤独」がメインテーマだと思います。ブエンディア家の安定を担い、村にとっても大きな存在である私の推し(ウルスライグアラン)ですら、最後は、大勢に見送られることなく呆気なく埋葬されます。ウルスラ以外のバイタリティ溢れるキャラクターも、決してハートフルでドラマチックな最期を迎えることがありません。この描かれ方について私は単純に「寂しさ」を感じました。
この作品の価値は、ストーリー性やキャラクターの掛け合いが大きく占めているということではなく、誰しもが抱える「孤独」の普遍性を描いていることに、今も読み継がれている理由があるのではないか。読み終えた今、そう実感しています。