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「有頂天家族」を読んで
こんにちは!!りこと申します。今回私のnoteを見るのが初めての人も、自己紹介を読まれた方も、この読書記録に目を向けてくれてありがとうございます。
私は自分の読書週間を生かし学校の課外活動の一環として、自分の読書記録を記し始めました。最近読んだ本、自分の大好きな本、大切な一冊一冊を記していきます。
記念すべき第一回として、今回は森見登美彦氏著の「有頂天家族」を紹介を兼ねながら記録していきます。
森見登美彦氏が描く、奇想天外で面白い世界
森見登美彦氏のこと、聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。代表作の「夜は短し歩けよ乙女」や、「ペンギン・ハイウェイ」などの独特な世界観を閉じ込めた作品らは、本屋大賞にノミネート、さらにはアニメ化されるなど、爆発的な人気を巻き起こしました。私の大好きな作家さんでもあります。
私が森見氏の作品を多数読んできた中で、彼の作品の最大の魅力だと思うのが、奇想天外で独特な世界観、そして特徴的な文体です。
例えば、「夜は短し歩けよ乙女」は自由奔放な「黒髪の乙女」に恋する「先輩」が、夜の京都や古本市、学園祭などの様々な場所で起こる事件を経て恋を成就するべく奮闘する話です。
しかし、作品では職業天狗を自称する謎の男「樋口さん」や、謎のお酒「偽電気ブラン」が登場します。京都の町を黒髪の乙女が、こうした人やものと触れ合いながら練り歩く様子は、妙にメルヘンチックで美しいのです。
そして、文章もなかなかにむつかしく面白いのです!
例えば、「夜は短し歩けよ乙女」の「先輩」目線で語られる、最初の段落の一文を引用します。
これは彼女が酒精に浸った夜の旅路を威風堂々歩き抜いた記録であり、また、ついに主役の座を手にできずに路傍の石ころに甘んじた私の苦渋の記録でもある。
とっても素敵じゃないですか?!
森見氏の秀逸な文章は、初めて読んだ時にはその語彙の難解さに頭をひねることが多くありますが、その難しさの奥に、卓越した表現力が姫われているのです。惹きつけるように美しい文体は、独特な「森見ワールド」を構築する最大のカギとなり、物語を鮮やかに彩っています。
「有頂天家族」の魅力
しかし、そのような難しい表現と独特の世界観は、面白いと感じる人もいる中で、その難解な文章に読みにくさを覚える人もいそうです。
実に私の友人は、独特の文体に「難しい」と頭を抱えていました。高度な言葉を使うことも多い作品らは、本を読まない人には敬遠されやすいのかもしれません。
しかし!!森見氏の作品をこよなく愛するが故、どれだけ読みやすい作品を紹介できるか私は頭をひねらせ、この「有頂天家族」を紹介しようと決めました。
さて、森見氏の作品の中でもユーモアに全振りしたような設定で、比較的「読みやすい」という声も多いような本作。なかなかにぶっとんだ設定が特徴となっています。
あらすじは、wikipedia様より引用させていただきます。
千年の都・京都。ここでは古来より、人に化けた狸と天狗が、人間社会に紛れて暮らしていた。糺ノ森に住む狸の名門・下鴨家の父であり、狸界の頭領「偽右衛門」でもあった総一郎は、ある年の瀬に人間達に狸鍋にされ、帰らぬ狸となってしまった。
遺された「下鴨四兄弟」の三男で「面白く生きる」がモットーの矢三郎は、天狗の赤玉先生の世話をしつつ弁天の美しさに魅かれ、夷川家の金閣・銀閣と張り合うなど退屈する暇もない。長男・矢一郎は次期「偽右衛門」を目指す。しかし下鴨家は、父を狸鍋にした金曜倶楽部に狙われる。
父の死に秘められた真実が明らかになり、下鴨家の逆転劇が始まる。
ここから見てもわかるように、天狗、狸という妖怪たちが天真爛漫に生活をする、という森見ワールド全開の設定がうかがえると思います。
そして実際に読んでみると、一人ひとり(一匹一匹?)の登場人物達も、キャラクターが立っていて、とっても強烈。
例えば、登場人物の赤玉先生は、天狗らしい傲慢で短気、怒りっぽい性格である一方、想い人である弁天には甘々だというリアルな一面があります。また、とても面白いのが主人公・弥三郎の母で、宝塚歌劇をこよなく愛し、化けるときはタカラヅカ風の青年となる、という一癖も二癖もあるキャラクターとなっています。
このようなユーモア性も秘める中で、本作では、矢三郎の父が狸鍋にされてしまうという、悲しい過去も描写されています。暗い過去を秘める矢三郎ですが、毎日を明るく面白く生きる姿は、軽快で読者を明るい気持ちにさせてくれること間違いなしです。
彼は4兄弟のなかで一番ユーモアがあり、面白可笑しい言動がたくさんあるので、読んでいるこっちまでクスクスを笑わせてくれるような親近感があります。森見氏の真面目で難解な文体も、この作品ではとても滑稽に思え、笑えてくるのです。
そして、狸や天狗が人の姿をして人間社会に溶け込んでいる、という設定にも惹かれます。作中では、如意ケ嶽という山で人間が行う祭りを横目に、矢三郎たちが、敵対する狸たちとてんやわんやの合戦を繰り広げたり、よく人に化けて天狗や狸たちが町にでかけたり、何食わぬ顔で居住する描写があります。
本を読んだ後に、狸や人、天狗が共に生きる社会、という夢のような想像を膨らませてしまいました。現実でも、このようなことが本当にあるのかなだとか、そうした子供に戻ったように想像することが楽しいのです。
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まとめ
今回は、記念すべき一冊目として森見登美彦作の「有頂天家族」を記録させていただきました。私は、森見さんの作品の、幻想的でありながら天狗など妖怪的要素も含み、ユーモアも織り交ぜた奇想天外な独特な世界観が大好きです。そんな本作の独特な世界観と魅力、皆さんに伝わっていると嬉しいです!ぜひ読んでみてください!!
(補足:初心者なので、私のnoteには改善点が多々あると思います。どんなことを伝えたらいいのか、など皆さんのアドバイス募集しています。辛口甘口なんでも大募集です、皆さんの意見よろしくおねがいします。)