見出し画像

DXと抽象化

「Transformation」という英語の「かたちが跡形もなくすっかり変わる」「決定的な変化を起こす」という意味通り、DXによって会社を丸ごとつくり変えることが求められている、という記事を見る機会が増えましたね。

ある大手企業のチーフ・デジタル・オフィサーは、2017年に社長から「2030年までに工数を今までの3分の1に、プロジェクトの速度を2倍にしてください。そうしないとこの会社は市場から退出することになります」と伝えられ、ITグランドプランを急遽作成したそうですが、この危機的状況は全産業が直面していると思います。

元経産省局長で経済・情報システムの第一線で活躍されている著者の西山さんは、DXのカギは、

「単純な仕掛けをつくると、目の前にないものも含めて何でもできてしまうかもしれない」

という抽象化の思想にある、といいます。

ちょっと難しいですが、「この手を打てば、いま目の前にある具体的なもの以外のものも含めて、何でも処理・解決できてしまうのではないか」という発想が大事なんですね。

日本の企業と行政が陥りがちな罠として、ユーザーから課題を聞くと、すぐに具体化して細かなことに入り込んでしまうため、2〜3年後の課題や、販売先のさらに上流にいる顧客の将来のための「標準化」ができない、と指摘されていました。

まず抽象化し、それから具体化する、という発想法を西山さんは「上がってから下がる」と表現されていますが、国籍・業種・企業・工場・ライン・装置の区別に関係なく「共通のアプローチで解けないか?」という思考法は、学び直しをする際にも重要になってきそうですね。

いいなと思ったら応援しよう!