種類が多くてわからない!?カクテル解説-スピリッツ編
こんにちは!バーテンダーのいかわです。
以前にカクテル初心者の方にもわかりやすく、カクテルの種類や特徴、飲みやすいおすすめのカクテルについて紹介しました。
今回は、カクテルを作る際におもにカクテルベースとして活躍する蒸留酒、「スピリッツ」について紹介していきます。
1.スピリッツとは
◆スピリッツの定義
世界的には、蒸溜技術を用いて造られる蒸溜酒全般を「スピリッツ」と呼びます。
おもなスピリッツの種類にはウォッカ、ジン、ラム、テキーラ、ウイスキー、ブランデー、焼酎、泡盛などがあります。
ただし、日本の酒税法では「ウイスキーやブランデー、焼酎、原料用アルコールを除く、エキス分が2度未満のもの」をスピリッツと定義しているため、ウイスキーやブランデー、焼酎は独立した分類となっています。
◆スピリッツの製法
スピリッツは、原料に酵母を加え、アルコール発酵させたもろみを蒸溜して造ります。
「蒸溜」とは、複数の成分が混ざった液体に熱を加え、沸点の違いを利用して特定の成分だけを分離させる操作のことです。
アルコールは水よりも沸点が低く、早く沸騰して気化する為、蒸溜技術を使って、アルコール分を抽出することができます。
◆スピリッツの歴史
スピリッツの発祥地は明確にはわかっていませんが、古代メソポタミア(現在のイラク周辺)といわれています。
メソポタミア文明の古代遺跡テペ・ガウラからは、紀元前3500年ころに造られた蒸溜器が出土しています。
蒸溜技術がヨーロッパに伝わると、イスラム錬金術とともに発達して、各地でスピリッツが造られるようになっていきました。
また、インドや東南アジアにも伝播して、日本でも泡盛や焼酎が造られるようになりました。
2.世界4大スピリッツの特徴とそれぞれの種類について
スピリッツの代表格ウォッカ、ラム、ジン、テキーラは、「世界4大スピリッツ」と称されます。
それぞれに生まれた地域の文化や、原料に使われている物産の特色が色濃く表れています。
それぞれのスピリッツの特徴と、実際に当店で取り揃えているスピリッツの種類を紹介します。
◆ウオッカ
ロシアやポーランドなどを原産とするウォッカは、トウモロコシや大麦、小麦、ライ麦などの穀類やジャガイモなどの芋類を原料としています。
その生産が盛んになったのは、ジャガイモやトウモロコシなど、寒冷地や痩せた土地でも育てやすい作物の栽培が広まってからといわれています。
現在親しまれているウォッカの原型は、19世紀初頭のロシアにおいて白樺炭でろ過する製法が考案され、19世紀後半に連続式蒸溜機が導入されたことで生まれました。
ウォッカの味わいは、一般的に無味無臭でクセが少ないクリアな味わいが特徴ですが、白樺炭の質やろ過にかける時間などによって、味わいに違いが出てくるといわれています。
スミノフウオッカTM No.21
お近くのスーパーマーケットやコンビニでよく見かける「スミノフアイス」に使用されているウオッカブランドです。
何度も濾過を繰り返して雑味・濁りを徹底的に取り除いた、無色透明のクリアなテイストが特長で、ミックスするものを選ばず、どんなカクテルのおいしさも引き立てます。
ウォッカのおすすめカクテル《モスコミュール》
ライムの爽やかな香りとジンジャー風味炭酸飲料のすっきりとした味わいが良く合い、飲みやすいカクテルです。
◆ジン
ジンは、トウモロコシやライ麦などの穀類で造った蒸溜酒に、ねずの実(ジュニパーベリー)など「ボタニカル」と呼ばれる香草・薬草などで風味づけしたお酒です。
ジンは、もともと薬用酒として重宝されていましたが、1660年、オランダの医学教授シルヴィウス博士がジュニパーベリーをスピリッツに漬け、蒸溜してできた薬酒を開発しました。
その効用にとどまらず、さわやかな風味と味わいを持つお酒としても注目を集め、各地に広まっていきました。
ビーフィータージン
バーや居酒屋などでよく使われている定番のジンブランドです。
厳選された良質なボタニカルとこだわりの製法によって生み出されたその味わいは、クリーンな風味と爽やかな柑橘香が特長です。
ボンベイサファイア
ボンベイの中でも最もスタンダードな、青いボトルです。
ボトルから注いだ瞬間、深く華やかな香りと味わいが特長です。
香りはシトラスとフローラルを基調とした香りで、スパイシーさとアロマを感じることができます。
タンカレーロンドンドライジン
伝統製法の4回蒸溜による洗練されたキレのある味わいと豊かな香味が特長のジンブランドです。
辛口のすっきりした味わいが楽しめます。
★ジンのおすすめカクテル《ギムレット》
ライムジュース、シュガーシロップまたは砂糖を少量加え、カクテルシェイカーを使って作るショートカクテルです。
キリッとしたジンの味わいとライムジュースの爽やかな酸味や香りが楽しめます。
◆ラム
キューバをはじめカリブ海周辺で生まれたラムは、地域の特産品であるサトウキビを原料に造られています。
ラムは、サトウキビ由来の甘い香りをたのしめるお酒で、熟成期間の長さによって「ホワイトラム」「ダークラム」「ゴールドラム」の3タイプに分けられます。
ホワイトラム
活性炭などでろ過を行い、淡色または無色透明に仕上げられたラム酒。
カクテルベースに最適です。
無色透明のライトな味わいが特徴。
ゴールドラム
樽熟成ならではの薄い褐色が特徴。
ホワイトラムとダークラムの中間的な味わいです。
薄い琥珀色をしていて、樽由来のバニラの香りも感じられます。
ダークラム
3年以上樽熟成させた濃い褐色のラム酒。
焼き菓子などに用いられるほか、ロックやストレートで味わうこともあります。
コクのある濃厚な味わいが魅力です。
ラムのおすすめカクテル《ブルーハワイ》
澄んだ青色がきれいなカクテルです。
全体的にすっきりとした味わいで果実のフルーティーな甘みも感じられ、初心者でも飲みやすいカクテルです。
◆テキーラ
メキシコ生まれのテキーラは、この地域の特産品である「アガヴェ・アスール・テキラーナ・ウェーバー(ブルーアガヴェ)」と呼ばれる竜舌蘭(りゅうぜつらん)を原料としています。
テキーラは、18世紀半ばにメキシコ西北のシエラマドレ山脈で起きた山火事で、甘い芳香を漂わせる焦げた竜舌蘭を見つけたことから生まれたといわれています。
クエルボ・エスペシャル・シルバー
樽熟成をしないシルバーテキーラです。
アガべの新鮮な味わい、キレのよいなめらかな口当たりが特長。
さまざまなミックスドリンクやカクテルに最適です。
クエルボ・エスペシャル
2カ月以上の樽熟成を経たテキーラです。
ほのかに甘い樽香、まろやかでコクある味わいが特長。
コールドショットはもちろん、ハイボールもおすすめです。
テキーラのおすすめカクテル《テキーラサンライズ》
テキーラ特有の風味とオレンジジュースの果汁感がマッチしたフルーティな味わいです。
1970年代に著名なミュージシャンたちの影響で世界に広まったカクテルです。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
スピリッツと一口に言ってもその種類は数千以上あり、同じスピリッツであってもブランドや種類ごとに個性が異なるため、その数は無限です。
もし迷った際は、ぜひバーテンダーまでお声がけください。
お客様にあった最高の1杯を提供します。
長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。