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前だけを見て

こんばんは。今日は「好きな小説」であり、「好きなドラマ」でもあった作品、誉田哲也さんの『ストロベリーナイト』について書きたいと思います。
ドラマはもともと、女優の竹内結子さんのファンだったので、見始めたのですが、すっかりストーリーにはまってしまい、今では「姫川玲子シリーズ」の小説発売を楽しみにっするようになりました。最初の『ストロベリーナイト』に始まり、『ノーマンズランド』に至るまでどの作品も思い入れが深く、特に『インビジブルレイン』『ブルーマーダー』は涙なしでは読むことの出来ない作品ですが、今回はやはり最初の『ストロベリーナイト』について書きたいと思います。ほかの作品については後々きっと触れると思いますので笑

この先は引用や場面紹介があるため、ネタバレが嫌だという方はぜひ読了後、こちらの記事を読んでいただけると幸いです。きっとその方が共感できることもあるかと思います笑

「姫川玲子シリーズ」の最初となるこの『ストロベリーナイト』ですが、なんとも衝撃の絶えない作品...出来る限り余りリアルには想像したくないような殺人描写があり、思わず目をそむけたくもなるのですが、それを上回る魅力あふれる作品だと思います。特に、壮絶な姫川玲子の人生、そんな中でも強く男社会の中で生きる彼女の姿に惹かれる人は多いのではないでしょうか。そして、そんな彼女を支える菊田和男をはじめとする姫川班、捜一の上司との関係性。憎い敵とも取れてしまうようなガンテツこと勝俣主任。それぞれが欠かせない存在であり、彼らがいるからこそ彼女は輝くのでしょう。

突然ですが、作品への愛はここまでにして、中でも特に私の好きなセリフを紹介したいと思います。それは作品でも最後の場面。病院にいる玲子を見舞ったガンテツのセリフです。作品をすでに読まれている方は、人物のチョイスに意外さを感じるかもしれませんが...笑

上ばっかり見てたから下が見たくなった?下しか見えないから上が見たい?馬鹿いうなって。そんななぁ、上だの下だの右だの左だの、余計なとこばっか見てっから、肝心なものが見えなくなっちまうんだよ。(略)
いいか。人間なんでのはな、真っ直ぐ前だけ向いて生きてきゃいいんだよ。
誉田哲也『ストロベリーナイト』光文社(2008)P426,L5

何回読んでも刺さるんですよね、このセリフ。

あの名曲にあったように、「涙がこぼれないように」上を向かなきゃいけない時もある。だけど、きっと上だけを見ていると、果てない空を前に人は圧倒され、終わりがなく吸い込まれてしまうような恐怖を感じてしまう。反対に、下ばかりを見ていると、自分は優れているのだという驕りを覚えたり、他人を見下してしまったり、はたまた反対に堕ちる恐怖を感じ立ちすくんでしまう。人は弱いから、前だけを向いて行くのは難しいかもしれないけれど、時に下を向き涙をこぼし、上を見上げ立ち上がり、最後には前を向いて進む。それが大切なのかなと個人的には思います。

私自身、もう進みたくないなんて思ってしまったり、下を向くことしかできないほどに辛いと感じてしまうことも多い日々ですが...
そこを無理をして前を向く必要もないと思っています。遅かれ早かれいつかは沢山の支えをもらって立ち上がると思うので。それぞれのペースで、生きていければいいのかなと思います。ただどうしようもなく途方に暮れてしまった時、このガンテツのセリフが立ち上がるきっかけの一つになればいいのかなと。

最後は少し重い話になりましたが、今回は「好きな小説」の中でもさらに「好きな言葉」について書いてみました。次は何を書こうかなとワクワクしています笑ぼんやりとそんなことを考えながら過ごす日々もいいですね。

それではまた。





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