燃え殻
年末に発熱した。
ちょうど仕事納めを終えた日の夜だった。
熱は38度台後半まで上がり、その後もダラダラと下がり切らずに正月休みの半分を食い潰した。
体の節々が痛んだが、特に頭痛がひどく、頭の血管がミミズのようにばるん、と動き、その度にズキンとしたの痛みが鼻の奥から頭の中心にかけて走った。
私の頭は情報の入力を拒むようになったようだった。
本などによる文字情報を見ては頭が痛んで止め、ラジオなどの音声もやはり私の頭を痛めつけ、停止ボタンを押すのだった。
あらゆる情報はノイズであり、私の頭を苦しめるものでしかなくなった。
食欲もなく、気を紛らす手段を一切絶たれた私は眼鏡を外してぼーっとし、眠りが訪れるのを待つだけだった。
断続的に寝起きと水分摂取、排泄を繰り返す。そんなベーシックな生き物。
徐々に体はみずみずしい果物を欲するようになり、穀物を食べれるようになった。頭痛の箇所や頻度も減ったので、本を読むことが出来るようになり、ラジオを聴いて笑うことも出来るようになった。
年を越す直前になり、熱は下がった。
が、いまだに咳は残り、少しぼーっとしていて本調子とは言えない。
燃え尽き症候群という言葉を聞くが、軽度のそれになっているようにも思われる。
思えば昨年一年は頭を酷使したものだと思う。特に年末は頑張りすぎたのだろう。
そのために体は発熱し、強制的に一年は終えられ、昨年の私を燃え殻にした。
燃え殻となったのち、基本的な欲求を取り戻した私の中に、今こうして文章を書きたいという意欲が、新しい意欲の火が燻(くすぶ)り出しているのを感じている。そしてその意欲こそが私自身を元気づけているのを感じる。
皆様が健やかであることを祈りつつ。
今年もどうぞよろしくお願いします。
↓馬の骨の名曲「燃え殻」です。力の抜けた燃え殻感が最高です。宜しければぜひ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。