#360 田崎基『ルポ特殊詐欺』読書アウトプット(第一章)
特殊詐欺のニュースで聞こえてくるのは、被害者側の声がほとんどです。
この本では、加害者である犯人側からルポルタージュとして書かれており、加害者側の声とともに特殊詐欺の仕組みや根深さを知ることができたので、書き留めておきます。
特殊詐欺の定義
「被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座へ振込みその他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪(現金等を脅し取る恐喝も含む)の総称」
特殊詐欺の類型
①オレオレ詐欺
②預貯金詐欺
③架空料金請求詐欺
④還付金詐欺
⑤融資保証金詐欺
⑥金融商品詐欺
⑦ギャンブル詐欺
⑧交際あっせん詐欺
⑨キャッシュカード詐欺
警察庁ではこれら9つに類型しています。
第一章 暗躍する捨て駒たち
この章では、出し子、かけ子、受け子、主導役のそれぞれの行動に加えて、心理状態が書かれています。
出し子の仕事は、他人名義のキャッシュカードと暗証番号のメモを、指示されたコインロッカーから取り出した後、指示に従い、コンビニや金融機関のATMで10万、20万と小分けにして引き出し、1日の出金上限額を探る。
かけ子の仕事は、警察が電波を追えないよう、高速を走り続ける。その車内で黙々と電話をかけ続ける。夕方になると地方都市のビジネスホテルに偽名で泊まり、月曜日から金曜日まで移動し続け、電話をかけ続ける、土日は自宅へ帰り、月曜日にまた集合して車に乗る。
受け子の仕事は、公園などの公衆便所で、出し子が待っている個室へ行き、ノックをして個室ドアの下から現金入りの封筒を受け取る。
主導役は、出し子、受け子に指示を出す。
「もうやめたい」と言っても、事前に身分を明らかにしているため、顔写真入りで「詐欺の犯人です」と投稿されたり、突然背後から頭を殴られたり、して、一度手を染めると逃げられない。
「動機は、軽率にして浅薄。しかし、一度手を染めると、詐欺グループは放っておかない。」
身近なところに数多く入口が存在している、一度加害者となると、簡単には抜け出せない構造を知り、自分の近くにいる人たちも簡単に足を踏み入れる可能性があるがあることを知り、身近なのは被害者だけではないかもしれないと思わされました。