#420 新名史典『「部下力」のみがき方』読書アウトプット(4章)

新名史典さんの『「部下力」のみがき方』を読んだアウトプット。4章です。

4章 上司の苦悩は意外なほど知られていない

部下は、上司に叱られると、まるで責められているような気持になります。自分や、自分のチームが攻撃されているかのように感じてしまいがちです。しかし、上司は自分のチームを攻撃したいのでしょうか。
部下にとっての自分のチームは、上司にとってもまた、自分のチームということです。自分のチームは、きっとそれなりに苦労をして得たはずです。どんなに小さくても、組織の長になるときというのは格別な想いがあります。
(中略)
しかし、実際にはそんなに簡単にうまくいくことはありません。思っていたよりもずっと厳しい状況だったり、部下が、こちらが期待していたような動きをしてくれないことに困惑することもあります。「こんなはずではなかった・・・」と思うわけです。
(中略)
自分が描く成功イメージをチームに求めるのですが、なかなかその通りにいくことはありません。描く成功イメージや、それに対する具体的な方策を明確に示すことができればいいのですが、それを伝えることがなかなか難しいのです。
そのため、部下からすると「叱られた」という事実だけが、強く印象に残ってしまうことになります。
われわれは、帰属意識というものに強く縛られています。そのため、何の肩書もない状態には不安を感じます。上司の場合は、その意識は、チームという組織に向けられることになります。部下個人というより、組織そのものに意識が向いてしまうのです。
つまり。チームこそが上司が守りたい対象ということです。そこには、上司が自分の立場を守りたいという保守的な側面もあります。そのため、「上司は、自分の保身ばかりを考えている!」と捉えられてしまうことがあります。
(中略)
大切なことは、「上司はそのように考えている」と「知る」ことです。知っていれば、それ相応の対応が可能になります。
「上司はこのチームを守ることに、強い意識を持っている」と理解すれば、自分がとるべき方法や態度も見えてくるでしょう。

P82-84 上司は、自分のチームを守りたい

当たり前の話ですが、上司にも上司がいます。社長でない限り、必ず上司がいます。つまり、ほぼすべての上司が中間管理職と言えます。
そうなると当然、上司が担当するチームの報告や相談を、さらに上位の上司に行なうことが求められます。部下が、上司に報告・連絡・相談を求められるように、自分の上司も必ず、そうすることが求められているのです。

P85 上司にも上司がいる

自分の仕事が、他の部署や大きな場で、よくも悪くも評判になることがあります。これは案外、担当者である自分には見えないものです。直接聞こえてくる声ではないからです。大きな会議の場や、上司同士の会話の中で話題になるのです。
(中略)
部下にはあまり見えないことですが、上司は常に対外的なところで部下の評価を聞かされているのです。
(中略)
他部署から部下がほめられるとうれしいし、叱られると悔しいし悲しい。組織である以上、部下でもある自分の評判は、他部署から上司に入っているかもしれない、と考えておくべきでしょう。

P88-90 「部下へのクレーム」は上司のところに来る

「悪い状況ほど早く報告しなさい!」、「Bad news fast !」
みなさんも、そう言われたことはあると思います。
(中略)
上司は自分の部署、チームの状況を把握しているかどうか、によって評価されています。
となると、自分の部署やチームの担当者に起こっている悪い状況は、何が何でも上司は知っておかねばなりません。

P91-92 なぜ、「悪い報告」を早く知りたいのか?

部下と上司の「情報ギャップ」という問題を考えてみたいと思います。部下は、「上司は、必要な情報をほとんど持っている」と思い込んでいる傾向があります。よほど特殊な案件でもない限り、自分より上司のほうが、知識や経験が豊富であると思っています。
たしかに、経験や知識は豊富でしょう。しかし、その経験や知識は、それを得た時期のものであって、今現在のものとは異なります。
(中略)
過去の自分の経験や知識に照らし合わせて、一所懸命によいアドバイスをしようとするのですが、なかなかうまくいきませんでした。自分でも無理があることを自覚しながらの苦し紛れのアドバイスでした。
ですから、部下の仕事としては、上司の情報をリニューアルして最新情報に更新してあげなくてはなりません

P95-96 最新情報を上司は意外と知らない

部下としては、お客様からいただいたとされる情報自体が、あまり重要だとは思えないこともありますが、上司からの指示なので、それにしたがわざるを得ません。
もしその情報が間違っていたら、その仕事は無駄に終わってしまうし、正しいとしても半信半疑で進めてたのでは、よい結果は得られません。
大事なのは、外部からの情報にむやみに反応しないように、上司への情報をコントロールすることです。部下からの情報と外部からの情報を、正しく比較して判断できるような環境を作り上げておくことが重要なのです。

P99 現場が遠くなるから、小さな情報にも影響を受ける

上司と部下とは異なる視点で、さまざまなことに悩んでいます。上司は当然、人より仕事がある程度できるから上司になることができたはずです。ですから、頭や心のキャパシティは広いはずです。
しかし、同じ人間ですから、10倍も20倍も広いというわけではありません。せいぜい2、3倍でしょう。
そして、複数の部下を持っていれば、考えるべき仕事も部下より多いということになります。また、それ以外の上司特有の課題(上層部との関係、他部署との関係など)もあります。
つまり、一つひとつの仕事について考えている時間や深さは、担当者にはかなわないのです。ですから、キャパシティは広いといえども、それぞれの仕事が頭の中を占めている割合、つまりシェアは決して多くないということです。この事実を、部下はまずしっかりと認識することが必要です。

P102 キャパは広くてもシェアは小さい

この章のタイトルにある「上司の苦悩」を、上司の立場、判断材料が必要なこと、考えることの多さなど、「上司を見ていて想像できるが見えない部分」を含めて書かれていたので、改めて上司は大変だと認識させられました。
そして上司も同じ人間。経験値が高くキャパシティか少し広いくらいで、部下の状況や言うことを何もかも把握できるかというと、とてもそんなことはないのは、この章に書かれていることである程度理解できると思いました。

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