#185 料理人を尊重する
昨日聴いていたラジオで、出演されたラーメン屋店主の話が引っかかったので書き留めておきます。
そのラーメン屋店主は、銀座にある「麺処 銀笹」の笹沼高広さん。
18年間、和食の料理人を務め、六本木ヒルズクラブという会員制クラブでも働かれていた方です。
しかし、六本木ヒルズクラブでは「個室ばかり、お客さんの顔は見えない、接待がメイン、残ってきた食事が目につく。」料理より会合のために来店するお客さんが多かったそうで、「1億円の商談とかよく聞いていて、その席には「仲居さんも極力入らないでくれ」、そんな席でも料理は2万円とか3万円の料理を頼まれる。食事がメインというよりは話がメインで、料理人としては朝から仕事してというところでは悲しい部分があって…」とのことで、ラーメン屋を始めたそう。
ごく一般的なサラリーマンである私は、料亭とは無縁です。
しかし、何年も修行して腕を磨いた料理人が料理を振る舞う店で、いくらおもてなしとはいえ、ほとんど手をつけずに残してしまうと、傷付く料理人もいるでしょう。
もちろん商談にすべてを注いで、食事が喉を通らないお客さんや好き嫌いの多いお客さんもいるかもしれません。
私が作った料理が不味かったら仕方ないですが、美味しいのに残されてしまうときっとショックです。(週末は料理していて、家族に好評なくらいそこそこ美味しい料理を作ってます)
中国では料理は残すのがマナーだったりと国によって文化が異なります。
しかし、フードロスが言われる昨今の日本においては、残さないようにするのがよいのではないかと私は思っています。
そして、今回気づいたのは料理人への尊重。
アルバイトの多いファーストフードを除いて、ラーメン屋、居酒屋、レストランなどの個人経営の店を出るときには大体「ご馳走様でした」と言っていますが、形式的になっている部分もありました。
私が苦手な相手の目を見ること。完食は当たり前、相手の目を見て「ご馳走様でした」をしっかり伝えたいと思った話でした。
追伸:
「和食の料理人の中では椀物が一番メインで、焼き場、煮方と段階を踏んでいくと煮方が最後。煮方が作るお椀が最高級品。そこをみんな目指してやっている。ラーメンの中で日本料理のお椀を目指してやった。」と笹沼さん。
懐石料理の「お椀」をヒトサラで味わえるように”と生み出したのが、「塩ラーメンと鯛飯」の組み合わせだそうです。
会員制クラブの料理人からお客さんの顔が見えて完食してもらえる店を目指したのであろう笹沼さんの作ったラーメン。ぜひ食べてみたいです。