ポンコツストーリー10 -職務質問されるポンコツ② -
みなさんは職務質問されたことがおありだろうか?
怪しい行動や風貌をしていたりする人に警察官が任意で質問したりするあれの事である。通常の生活を送っていれば、一度もされずに一生を終える事も多いのだろうと思う。実は、私は複数回あったりするレベルのポンコツである。
と前回と同じ書き出しで始めたこの職務質問シリーズ二回目である。
職務質問二度目
高校を卒業し、私は車の免許を取った。
車はまだない。
そんな時、知り合いが車をもらったらしく、でも駐車場の空きがなく、今すぐ乗らないからしばらく車を停めさせてほしいと言ってきた。
幸い、駐車スペースはあったし、なんならその車を使っていてもいいよとの事だったのでその申し出を快諾した。
新しくもなく、なんなら最初から傷がついていたりもする車だったので、初心者の私でも気軽にその車を借りてみようという気になった。
これはそんな軽い気持ちからドライブに行った日の事だ。
特にあてもなかったのだが、季節は春。
まだ少し早いが上野公園の桜でも見に行くかと車を走らせる。
父親の車を借りて近所を走ったことはあったが、少し遠くまで車で外出するのは初めてだった。
上野まで無事に到着し、上野公園周辺を走る。
元々、バイクでこの辺りはよく来ていたのだが、当時はバイクの路駐は許されていたのだ。
なので、車の駐車場事情が全く分からない。
とりあえず、駐車場の場所を地図で確認するために、科学博物館と国立博物館の間を走る道のちょっとしたスペースに車を停める。
このポストに使わせてもらった写真に少し写っているが、知る人ぞ知る「博物館動物園駅」があるあの通りだ。とても趣のある面構えの駅でマニアでなくても知っている人も多い駅だ。
特にこの話に重要な拠点ではないので、分かる人に分かってもらえれえば良いだけの無駄情報だ。
話を戻そう。
私が路肩に車を停車させたと同時にすぐ後ろにパトカーが停まるのが見えた。
駐停車禁止の場所でもないし、交通違反した覚えもないので、特に気にせず地図を見る。
すると後ろのパトカーから警察官が二人降りてきて、私の車の窓を叩く。
「はい?」
「免許証見せて」
まだピカピカに新しい免許証を見せる。
しばらく確認していたが、
「ありがとうございます。」
「横から見ていたら高校生に見えたのでつい呼び止めちゃいました!(笑)」
いや笑うところじゃないし!
「そうなんですね(笑)」
お前も笑うなよという気もするが、人に合わせるのが上手なポンコツである。
実は、面白いネタをゲット出来たとちょっとうれしい自分もいる。
ついでに、警察官にこの辺の駐車場情報も聞き出すこともできた。
飛んで火にいる夏の虫とはこの事である。(違う)
それにしても、車のガラス越しにさえ子どもに見えた自分の威厳のなさは、歳を重ねた今でも変わらず。
ただ、基本威厳のない穏やかで飄々とした風貌ではあるものの、怒った時に突然変貌する目つきの鋭さと、笑顔できついことをズバズバ言うという、二重の面倒くささを兼ね備えた、もしそばにいたら絶対に接触を最低限にするであろうレベルの大人になった。
いくつになってもポンコツである。