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ポンコツストーリー9 -職務質問されるポンコツ① -

みなさんは職務質問されたことがおありだろうか?

怪しい行動や風貌をしていたりする人に警察官が任意で質問したりするあれの事である。
通常の生活を送っていれば、一度もされずに一生を終える事も多いのだろうと思う。
実は、私は複数回あったりするレベルのポンコツである。

しかも、当時は全く怪しさのない人畜無害な風貌であったにもかかわらずだ。ちなみに、私の顔をご存じない方がほとんどだろうからイメージしやすいように例を挙げると、実際に似ているかどうかはともかく、小沢健二やミスチルの桜井氏に似ていると言われたこともあるような、最近だと田中圭とか…なんかそっち系の顔である。

職務質問一度目

過去の記事を読んでくださった方はご存じの通り、高校時代はいつも行動を共にする友人が二人いた。三者三様にクセも強かったので、みんなからは「ずっこけ三人組」「マルクス三兄弟」など色々な名称で呼ばれるくらい周りからも認知してもらうくらいの仲間たちだ。

あれは、高校二年の夏休み前の期末試験が終わった日の夜だ。試験という抑圧から解放された私たちは自由を満喫するべく比較的都心部に住んでいた友人宅に集まった。特に目的があったわけではなく、いわゆるただのお泊り会のはずだった。しかし、この私と仲良くなれるくらいの変わり者たちである。ただの夜を過ごすなんて退屈な時間を過ごすわけもなく。

「自転車でどっかいかね?」

彼の家には、彼とお母さん、お姉ちゃんの3台の自転車があった。みんなで一台ずつ借りてどこかへ行こうという計画が突然持ち上がる。
当然のように、全員大賛成で大盛り上がりの興奮状態だ。ヒューヒュー言っちゃうくらい盛り上がる。男子高校生はバカである。
家族から自転車を借りる承諾を得て21時過ぎからそれぞれの自転車に乗り夜の町へ走り出す。
この日の事はまた別の機会に詳しく書くとして、今日はその中の1エピソードだけ書こうと思う。
都内の様々な場所を自転車で疾走する三人は様々なルートを走り、品川付近を走っていた。誰かが言った。

「海見たくね?」

私たちは、品川ふ頭方面に向かった。
どこから海が見られるのか分からないが、海の匂いがしてきた。テンションが上がる。
大きな倉庫がたくさん立ち並ぶ倉庫街、そしてその向こうに海らしいものが見える!
自転車を適当に停め、柵を乗り越えて倉庫街に入っていく。
立ち並ぶ大きな倉庫、無造作に積み上げられた無数のパレット、そしてその向こうに真っ黒な海が見える。

「海だー!」

時間は恐らく深夜2時を回っていた頃だ。
いくら体力が無尽蔵に湧き上がってくる高校生とはいえ、5時間も自転車で走っていれば疲れてくる。
海を見ながら、それぞれ思いにふけったりしながら、海をぼんやりとみている。
気が付くと、私たちの後ろに一台の車が停まり二人の男性が降りてくる。

「何してる?」

穏やかながらも厳しい堅い声が聞こえてくる。
勝手に入り込んだから怒られるのかな。
とりあえず謝っとくか。
謝る事には抵抗のない私たちだ。
その謝罪を待つことなく、

「身分証明書ある?」

ヤバいことになっているのか?。
私たちは三人ともバイクの免許を持っていたのでそれを見せる。

男性たちは、身分証明書と私たちの風貌を何度も見比べ、何かを納得したような表情に変わる。
その二人の男性も身分証明書を見せてくれる。
刑事さんだ。

「こんな時間に、ここにいたらだめだよ」

「ここは麻薬とか覚せい剤の取引が行われるんだよ」

「この海の中に何人沈んでるか分からないんだよ」

「今日はまだいないみたいだけど、しょっちゅう取引が行われているから見回りしてるんだよ」

「とにかく危ないからここにはもう来ちゃだめだよ」

どこまでが本当で、どこまでが脅しなのか分からないが真実味のあることを刑事さんに告げられ私たちはその場を後にする。
でも、よく考えたら高校生が真夜中に外を出歩いていることをとがめるのではなく、薬物の取引に巻き込まれる心配だけをしてくれたことを考えるとあながち嘘ではないのだろう。

最初の職務質問は、お巡りさんではなく刑事さんだったこと、さらに薬物の取引に関与しているかどうかに関するものであった事は、今考えたら中々貴重な経験だったと思う。

そして、本当にその日たまたま取引が行われていなくて良かったと今頃になって安心しているポンコツな自分がいる。

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Soi33Labo / #726d40
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