システムコーチング研修を受けました(2日目)

研修1日目の続きです。


システムコーチング基礎・2日目

チェックイン

オンライン研修の場合、2日連続ではなく週に1日2週にわたっての研修になるので、一週間ぶりの集合です。
前回の研修で何度も意見交換したり、グループワークをしたので初日ほどの緊張感はありません。
余談ですが、この研修では講師も含めて自分の呼んでほしいあだ名でお互いを呼称します。ぐっと心の距離近くなりますね。

いつもの自分の感情と場の感情を共有タイムですが、この時は一週間各々が日常に戻って学んだことを実践し、再び学びの場に集まったけれどまだ仕事モードが抜けていない感じを「一度発散したシステムが再び少しずつ集約しようとしています」と表現していました。どうも私は場の感情を表現するときに比喩を使いがちのようです。メタファー力養いたい。

一週間の振り返り

実践課題として、「身近な人に対して学んだツール・スキルを実践する」がありました。冒頭ではグループに分かれて実践の振り返りをします。
私はプロダクトオーナーと開発チームのリーダーに対してDTAを実践しましたが、他の方は友人や親族の夫婦に実践されたそうです。
そもそもシステムコーチングを知らなかったり、関係性について話す機会の少ない人(ほとんどの場合はそう)に対してどう文脈設定して合意を得るかに苦慮したという方がけっこう多かったです。
特に、片方はとりあえずやってみる姿勢だけどもう片方は詳しい説明を求めている場合にどちらかに合わせすぎると片方が腹落ちしないまま進んでしまい関係性の構築に影響が出るので、そこの塩梅が難しいらしいです。
確かに、「関係性をよりよくしていくためのワークです」って言われても変に穿った印象を与えてしまうことは往々にしてありそうだから、文脈設定と合意は気を付けないとなと思いました。

スクラムにおいてもそうですが、ツールやプラクティスを持ち込むときは「どういう効果が得られるか」「どんな狙いなのか」を丁寧に説明するのは本当に大事。ここに手を抜いたりうまく伝わらず失敗したことは多々あり。

アライメントコーチング

「アライメント」は、揃えるとか調整とかの意味合いで使われますが、これは対立が起きつつある関係に対して適用すると効果が見込めるツールだそうです。
前回に続き「場の反映」を意識していくのですが、ここで肝となるのが「ベンチレーション」という行為。
お互いに課題を持つ・・・野心家で競争意識の強い男性と彼にアイデアを横取りされたと感じている女性の同僚関係とか、毎年恒例の女同士の海外旅行に突然彼氏を連れてくると言い出す相手に対して憤っている親友同士とか・・・二人に対して、課題を一度横に置いた状態でコーチに向かって感情を吐き出してもらいます。
このベンチレーションですでに白熱してしまいそうですが、ここではあくまで「現在の感情」のみを吐き出してもらい、過去の出来事については触れないそうです。「あなたはあのときもそうだった」とか「前のプロジェクトでも同じ失敗をしていた」とかですね
コーチを挟んだ状態でお互いが自分の感情を吐き出す間は相手もその場で聞いているので、何往復かすると良くも悪くもお互いが今何を望んでいるかが少しずつ明らかになり、相手の望みを知った自分の感情も変化が起こります。
二人の感情に変化が見られたタイミングで、お互いにどう問題を解決するか、何に合意できているかを確認しながら最後に二人で解決のアクションを模索するという流れです。

ワークを通じて、このベンチレーションでは意外と多くのことが明らかになるなと感じました。
対立には多かれ少なかれ「勘違い」とか「思い込み」が滞在していますが、お互いの感情を横でそっと聞くことで、そのことに気づくことができる。
まぁこじれていると意地をはって勘違いを認められないこともありそうですが・・・認めること以前に「知る」ことができるのは大きいかなと思いました。

関係性の四毒素

チームや組織に現れる4つの毒素に向き合うツールです。ちなみに以下の4つの毒はSCRUM MASTER THE BOOKにも記載されています。

  • 非難(乱暴な攻撃、とげとげしい始まり、弱い者いじめ、マウンティング、断定的に押し付ける)

  • 無視・逃避(離脱、非協力・消極的、丸投げする、ひきこもる、回避追従、上の空、他者からの影響に心を閉じる)

  • 侮辱(こき下ろし、敵意あるうわさ、間接的攻撃、無礼・軽んじる、屈辱的な言葉・皮肉、侮辱のまなざし)

  • 防御(静かに攻撃的、責任を取りことを拒む、話をそらす、自分のせいじゃない!、犠牲者の立場をとる)

これ、めちゃくちゃありますよね。どこの関係性にもある。
なんなら全コンプしてるとことかありそう。

これは、自分のチームや組織にどの毒素かよくあらわれるか、どんなときに出るかもそうですが「自分が使いがちな毒素はどれか」を考えることも気づきにつながるそうです。
また、ワーク中は深刻にならないよう遊び心をもって取り組むのも大事なポイント。

「非協力、消極的」や「ひきこもる」はけっこうあるんじゃないかな。
ファシリ以外誰もしゃべらずPBIの読み合わせになってるリファインメントとか、お通夜みたいなレトロとか。あるあるですよね。
これはチームの毒素であり、この毒はコミュニケーションを停滞させたり意思決定が遅れる症状をもたらす可能性があることをスクラムチームに気づかせてあげるのはスクラムマスターの大事な仕事かなと。

余談ですが、夫は「非難」(特にマウンティング)が出やすいタイプの人で、この毒素の話をした後日マウントをとってくる場面があったので「ほらこれ!これが毒素よ」って教えてあげるとハッとした顔をしていました。
案外自分では気づいていないんだよね。
ちなみに私は「防御」(犠牲者の立場をとる)がよく出ます。自分の主張は正しいという前提で話をしがちなので、反対意見を「攻撃」ととらえてしまうんですよね。反省。

この毒素の背後には、何らかの信念や願いが隠れているそうです。
毒素を指摘してなくすことも大事ですが、どうしてその態度に出ているのか、どんな思いが隠れているのかを探ることに意識を向けることも大事。
このあたりのアプローチは今読んでいるNCVの本で理解が深まりそう。

インフォーマルコンステレーション

これはここまで実践した中で唯一、「場の感情の反映」を使わないツールになります。
コンステレーション=システムにおけるメンバーの立ち位置やそこにいる感情を明らかにします。
1つテーマを決定して、書いた紙を部屋の真ん中の床に置きます。
テーマはチームに関連することで。スクラムだとプロダクトビジョンとか、スクラムの5つの価値をピックアップしてもよさそう。
そしてそのテーマに対してどのくらい関心があるか、どのくらい行動している(したい)かに対して自分の一番しっくりくる場所に立ちます。
コーチは全体に対して、テーマに近い位置から少しずつ外に広げる形で「なぜそこに立っているか」「どんな感じか」を質問する。

このツールでは「評価判断しない」ことがとても大事です。
というのも、このツールでは「ディープデモクラシー(深層民主主義)」を明らかにすることを期待しているため。
なので、名指しで指名せず声を出せる人に意見を出してもらったり、くどいくらい「いい悪いではない」ことを繰り返し伝えながら進めます。発言してくれた人には「声を出してくれてありがとうございます」と感謝を伝えます。

最後に、テーマについてどのくらい行動したいかの立ち位置に近づくためには何が必要かを2人程度で話してもらい、全体に共有して終了。
コミットメントを約束するわけではないので、全員が表明しないしレトロのTryのようにPBIにもしません。
チームの中で表明されていない小さな声を拾い上げ、チームの現状を明らかにすることが目的なので、コーチが何か意図をもって(言わせようとしている、せかしている)いると思われないよう一定のペースで進めるのが大事だそうです。

さっきの毒素で、スクラムチームで起こりがちなものに「非協力・消極的」を上げましたが、その中には「ビジョンに共感できない」「スクラムの価値を価値だと思えない」など言いづらい声は存在するのかなと。
毒素と同じですが、それを「ないもの」と扱わずにあくまでチームの現状として明らかにすることが大事なのだと感じました。
対話の中で「スクラムの価値がよくわからない」という声が出ればスクラムガイドを読み合わせたり5つの価値についてチームでディスカッションするなど、具体的な行動を起こすこともできます。(もちろん行動につながらないことも多々あるとは思いますが)
研修内では「チームのスナップショットをとる」と言い回しされててすごくしっくり。

振り返り

みっちり2日間、研修時間中はほとんどしゃべったり思考したりで座学というよりエクササイズって感じで濃い研修でした。
スクラムと親和性も高く、チームでも組織でも使えるアプローチだと感じました。
2日目に学んだインフォーマルコンステレーションは、いろいろな場面に使えそう。ぱっと思いついたのはミッションビジョンバリューの浸透として組織に取り入れられそうです。

2日間通して、本を読むのと実践するのはまったく違いました。メタスキルの使い方の感度が上がった気がする。
基礎だけでも十分学びは深かったですが、もっと深くもぐりたくなったら応用も受けようかな。


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