買わぬくじに当たりなし
〔解説〕
ことわざ自体がすでに説明になっているので解説は不要と思うが、本辞典は親切なのでしつこく、いや、深く説明する。
因果関係も言葉の調子もよく似たことわざに「さわらぬ神に祟りなし」があるが、「買わぬくじに当たりなし」の作者はそれをもじったのであろう。
宝くじはなかなか当たらないものだが、それでも買いさえすれば、どんな低い確率だろうと当たる可能性は出てくる。逆にいえば、買わなければ絶対に当たらないという単純明快な理屈である。
〔さらに解説〕
ところが、前述の解説には誤りがある。つい見逃しがちだが、当たるか当たらないかは、買ったかどうかとはまったく無関係であり、別問題である。したがって、買わなくても当たることはあり得る。
どういうことかというと、くじをもらったり拾ったり、あるいは盗んだりしたものであっても、当たる可能性そのものはあると言えるのだ。
ただし、言うまでもないが、拾ったものには届け出やら何やらという法律があることも考えなければならないし、盗めば犯罪になる。
以上のようなことから、厳密に言えば「買わぬくじに当たりなし」は間違いであり、屁理屈で言えば「手にせぬくじに当たりなし」が正しいことがわかる。
買っても当たらない人が圧倒的に多いのに、買わないで当たる人は強運の持ち主であろう。ましてや、拾ったくじが当たって、しかも1等だったとしたら強運中の強運である。
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