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可もあり不可もあり
〔解説〕
「可もなく不可もなし」という言葉がある。「良いところもないが悪いところもなく、平凡である」という意味だ。たとえば「今年の新入社員はみな平凡で、可もなく不可もなしと言ったところだな」などと遣われる。
もとは孔子が自分の処世の態度について言ったもので、前述の解釈とは意味が若干異なる。
孔子は「世には清い世捨て人もいるが、自分は彼らとは違って可もなく不可もなしであり、ごく普通の道を行く者なのだ」と言った。
このことから「(略)言行に過不足はなく、中道を行くことができる」という意味を表した。
(ここまではパロディーではなく事実)
〔さらに解説〕
厳しい残暑のなか、珍語漫語の会の須湖すこ副会長が日本格言制定委員会を訪れ、「可もなく不可もなしという言い方はマイナスのイメージだから、視点を変えて『可もあり不可もあり』を制定してはどうか」と申し立てた。
このところめきめきと頭角を表し、会長そっちのけで気炎を吐いている須湖副会長の迫力と色気に圧倒され、制定委員会は「可もあり不可もあり」を満場一致で採択、制定した。
審議の過程では掃いて捨てるほど多くの案が出されたが、どれも可もなく不可もないものばかりだった。
制定委員会の尾琴場委員長は「可もあり不可もありという言い方のほうが可もなく不可もなしよりは活気を感じますが、まあ、全体としては可もなく不可もなしといった雰囲気ですな」と、夏バテが残る表情で評していた。
なお、槍杉副委員長は夏バテで休暇を取っていた。
街頭インタビュー。
19歳(女)学生
「あ、時間ですか、だいじょうぶですよ。いま買い物行くとこなんです、勝負下着を買いに。へえ、ことわざができたんですか。おめでとうございます。ふうん、で、可ってなんですか」
74歳(男)無職
「おれは若いころ上司に『おまえは可もなく不可もなしだ』って言われたことがあるよ。おれは腹が立ったから『あんたと同じだよ』って言ってやったんだ。そしたら上司が『今朝女房にも言われた』って言って、妙に仲間意識が生まれちゃったんだ。で、会社が退けてから二人で飲みに行ったんだ。それで気分が乗っちゃてさ、社長に電話したんだ。それでさ、上司が社長に『社長が可もなく不可もなしだから会社の業績だって可もなく不可もなしなんだ』って言っちゃったんだ。それで二人ともクビになった。どうだい、可も不可もあるだろおねえさん。長話の割りにはおもしろくなくてごめんよ。ひっひっ」
28歳(女)エアロビクスインストラクター
「可はいいけどさ、不可なんていらないんじゃないの? あたしなんか心身ともに絶好調で〝可だらけ〟みたいな感じだし。彼氏と毎晩よ。あなたもエアロビクスやってみたら? いまなら入会キャンペーンやってるし」