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痒いところへ手が届かない。ああ歯痒い
背中の左側、肩甲骨下部のあたりが痒い。しかし、そこへ手が届かなくて掻けない。しかも、こんなときに限って孫の手が見つからない。
若いときは体が柔軟だったからどこでも掻けたが、年を重ねたらそうはいかなくなった。右手も左手も、いや、手ではなく腕というのか、よくわからないが、上方からまわそうが下方からねじろうが、ちょうどその痒い部分に届かない。
注意や気配りがよくできていることを例えた「痒いところへ手が届く」という言葉はなかなかいいところを突いているじゃないかなどと、妙なタイミングで感心したりする。
いや、そんなことを言っている場合ではない。しかたがないから柱に痒いところを押しつけて体を動かした。どうにか痒みはおさまったが、なぜ手の届かないところが痒くなったんだなどとひとりで憤慨する。
手や道具を使える人間でさえこんなことがあるのに、人間以外の生き物はどうやって掻くのだろう。
イヌやネコ、ブタなどが壁面や木に体をこすりつけて掻いている(のだと思う)のを見たことがあるが、肩や横腹などはさておき、首筋の上側や胸などのほか、掻くのがむずかしい部分や掻けない部分もあるだろう。そういうときは我慢しているのだろうか。
鳥類、魚類、爬虫類、両生類、昆虫類。そういう生き物はどうするのか。カメやスッポンの甲羅などはなんの感覚もないだろうが、脇の下(という言い方はしないと思うけど)はどうだろうか。
背中が痒くなったハリネズミや、後頭部が痒くなったキツツキなどはどうするのだろう。
脚の付け根が痒くなったムカデ、額が痒くなった水牛やトナカイ、耳の先が痒くなったウサギはどうする。トンボやチョウだって大変だろう。
タコなどはどこでも自由に掻けるだろうけど、カツオやサンマ、タツノオトシゴなどはどうするのだ。
待てよ。そもそも、それらの生き物に痒いという感覚があるのだろうか。感覚がないならどうということはないが。そうだ、そんな感覚なんかないことにしておこう。それがいいそれがいい。