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七転び七起き
〔解説〕
何回失敗してもくじけないで立ち直るという意味の教訓。人生には浮き沈みがつきものだが、それを転ぶことに例えたもの。
転んだ回数と同じ回数だけ起きるというところが肝であり、このことわざで言えば六回しか起きないなどというのはだめ。
類語に「転んだら起きよ」(※パロディーではなく事実)があるが、まあ、たいていの場合、言われなくても起きるのが普通である。
誰も言ってくれないので、いつまでも転んだままの状態でいるなどいう人はあまりいない。いたとしたら、気絶しているか絶命しているかだろう。
〔さらに解説〕
まぎらわしいことわざに「七転び八起き」がある。「七転八起」とも言うが、少し考えれば論理がおかしいことに気がつく。転んだのは七回なのに八回起きるなどということは、いくら器用な人でも不可能である。
八起きというからには、七回起きあがった後、さらにもう一回起きあがらなければならない。これはなかなか難しい。いや、なかなかどころか絶対に無理だ。
七回目に起きた後、
「うーん、どうしたらもう一回起きることができるのだろうか」
などと考えながら胸の前で腕を組み、苦悩に顔を曇らせながらしばし佇む、という姿が目に浮かぶようだ。
「七転び八起き」は、最初にこのことわざを作った人が、転んだり起きたりの回数を数え違いした可能性がある。
例えば、冬の朝散歩をしていたお爺さんとお婆さんが、凍った道ですべって何回も転ぶ。
「痛てて。道が凍てていて痛てえ目に遭ったな、婆さんよ」
「なんだい爺さん。痛えのに駄じゃれなんか言っていて。ひっひっ」
などと二人でふざけていて勘定を間違ったとも考えられるのだ。
そんな爺さん婆さんはいないと思うけど。