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北海道「小樽運河」に心たゆたう

 先週から今週にかけ、某旅行代理店のツアーを利用して北海道を旅してきた。4日間で北海道をめぐるという欲張りな駆け足ツアーであり、何か所もゆっくり観て歩くという旅とは趣が異なった。
 そんなわけで、noteでたっぷり紹介しようというムシのいい野心をいだいていた私の思惑は外れた。

 それでもせめて2本や3本は記事にしようと画策していたのだが、ふり返ってみたらそれすら危うくなった。
 そんななかで、これは記事としてなんとか耐えられるのではないかと思ったのが「小樽運河」だ。ほかの場所はいったん横に置くことにし、とりあえずこれを記事にしよう。

 北海道観光で人気上位の「小樽運河」は、小樽駅(JR北海道函館本線)からだいたい徒歩10分くらいのところにある。
 運河に沿って緩やかなカーブを描く散策路からの眺めは、まるで絵に描いたようだ。

訪れた時間帯は正午と黄昏の中間くらいだった。
上の場所をややアップ。


平日にもかかわらず、散策路は観光客で賑わっていた。



 レンガなどを多用したノスタルジックな雰囲気が人気の石造倉庫群は、カフェやレストランなどに姿を変えて新たな生き方をしている。
 それら自体が魅力的だが、水面に映る姿がいっそうロマンチックな雰囲気を演出している。
 石畳の散策路では絵や写真を売る人のほか、音楽を演奏する人などの姿も見られた。現代の喧騒や雑踏とは別の世界へ足を踏み入れたような錯覚にとらわれる。

散策路にはこうした絵描きや写真屋の姿が見られる。
この人も絵を売っているようだ。写真には写っていないが、ギターを演奏している人もいる。



 小樽運河の身の上を簡単に語るとだいたい以下のようになる。
 開拓が進んでいた明治時代の小樽港は海運の重要な役を担っていた。そこへ荷物の積み下ろしの効率化という、さらなる機能向上が求められた。
 当時、大型船は沖に碇泊し、小さな艀(はしけ)で荷物を運んでいたが、これは効率がよくなかった。そこで、艀を倉庫に近づけられるよう運河を造る計画が立てられた。

 建設に対しては賛否両論があり、議論が激しく交わされた。その結果、ようやく大正12(1923)年に完成したという経緯がある。
 しかし、時代が移り変わって陸上輸送が発達したことから、運河の役割は縮小していった。昭和61(1986)年には運河が部分的に埋め立てられる事態になり、最終的に現在の姿になった。
 幸いなことに、石造倉庫や歴史的建造物は生き長らえ、観光資源として活用されるようになったというわけである。



木造建築が主体の日本にあって、洋風な外観は異国情緒を漂わせる。
秋の一日を、時間が優雅に流れていく。



 運河周辺は四季折々情緒あふれる姿を見せてくれるばかりか、運河沿いや周辺には、味覚を満足させてくれる店もたくさんあるそうなので、そのへんも頭に入れておけばいい旅になると思う。

この倉庫の前はクルーズ船の乗り場になっている。
運河を遊覧するクルーズ船。水上から街並みを眺めることができる。
団体客だろうか、クルーズ船の乗り場は満員。


 先にも記したけれど、ツアーという旅の形式によって少々せわしく、ゆっくり観ることはむずかしかった。できるならカフェで何か飲みながら風景を眺める時間がほしかった。
 写真にしても、橋の上やら何やら、もっといろいろな構図で撮りたかったがやや消化不良だった。



おまけ

 小樽駅から小樽運河へ向かう途中、ちょっとした観光スポットになっている場所があった。
 「旧手宮線」という、北海道最初の鉄道の一部を遺したところだ。石炭をはじめとする北海道の地下資源の開発と輸送を目的に建設されたそうだ。
 現在は線路の一部を残すのみだが、観光客が写真を撮るなどして存在感を示していた。もちろん電車は走っていない。

いまは観光客のスポットとなって活躍(?)している。






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