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ない知恵は絞れない
〔解説〕
むずかしい問題に直面したときなどに、四苦八苦しながら解決策を考えることがある。そんな状況を「ない知恵を絞る」と表現することがある。
たいした知恵がないところで、懸命に考えて方策を練ることを言い表した言葉だ。謙遜やへりくだりの雰囲気で遣われることも多い。
例えば「多少なりとも御社のお力になれればと、全員でない知恵を絞りました」などと遣う。
対語に「ない知恵は出せぬ」がある。
(ここまではパロディーではなく事実)
〔さらに解説〕
「ない知恵を絞る」ということわざはよく知られていて、日常で遣われることも少なくない。
しかし、これは現実を考えると不可能であることがわかる。「ない袖は振れない」ということわざがあるが、それと同様で、もともとない知恵はどうやっても絞れるはずがない。石が落ちていない場所で「石を拾いなさい」と言われるのと同じだ。
そんな、禅問答や頓智のなぞなぞのようなことわざを放置しておいては教育上もよろしくないということで、日本格言制定委員会の委員がない知恵を絞り、「ない知恵は絞れない」が制定された。
対語に「ない知恵は出せぬ」という言葉があると述べたが、議論の過程で一部の委員から「わざわざ新しい格言を制定しなくても、既存の『ない知恵は出せぬ』を知らしめればいいではないか」という意見が出た。
これに対し、この委員に尻を触られたことがある女性委員から「手癖の悪いエロ委員は口を出すな」と一喝され、当該委員は発言を取り消した。
街頭インタビュー
(男性には女性が、女性には男性がインタビューしています)
12歳(男)小学生
「ない知恵は絞れないって、知ってましたよ。お母さんが毎日のように言ってるから。え!? これって新しいことわざなんですか? じゃあ、お母さんは先見の目があったのかな。え、「先見の目」じゃなくて「先見の明」が正しいんですか。おねえさん、知恵がありますね。え? こういう場合は知恵じゃなくて知識? うわ~今日のぼくって立つ瀬がないや。えーっ!! おねえさんの名前、知恵っていうの!? マジ!? なんて日だっ」
32歳(女)風俗
「出勤途中だけど、まだ時間早いからいいわよ。「ない知恵を絞る」なら知ってたけど、ふ~ん、そんなのができたんだ~。ねえ、あたしのお店近いんだけど、そこでゆっくり話さない? あたし、知恵は絞れないけどお絞りならいくらでも出せるわ。あら、だじゃれでドン引きしちゃったかしら。やっぱりあたしって知恵がないわね。もう自分でうざいわ。あはは」
41歳(男)広告代理店
「知恵のことわざ? この業界ってアイデアが勝負みたいなとこがあるんですよ。知恵がなければやっていけません。私なんか、ない知恵を絞り尽くしちゃって、もうたいしたものは出ませんよ。帰宅してからだって女房にいろいろ絞りとられちゃうんですから。あ、あなたがあまりにも美人なんで、いや、セクハラじゃないですよ。つい真実をね、いやどうも、すみません。そうじゃなくて、あなたみたいな美人にだったら毎晩絞られても、あ、いや、絞られたい、すいません、つい口が滑って」