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無いほうがまし

〔解説〕

 古くから身近で使われてきた「無いより(は)まし」ということわざは、「たいして役に立たないものや価値がないものでも、ないよりはあったほうがいい」とか、「どんなに少しであろうと、全然ないよりはあるだけまし」という意味だ。

 「お年玉、小学一年生だからって、たった100円って少ないでしょ」
 「だけど、ないよりましじゃないか。ぜいたく言っちゃいけないよ」

 類語に「有るは無いに勝る」がある。

(注/ここまではパロディーではない)


〔さらに解説〕

 新しくできた「無いほうがまし」は、本来の「無いよりまし」とは正反対の意味だ。読者諸賢には説明するまでもないだろう。
 「無いほうがまし」は物が対象だが、そこから派生したものに、人間やその行動を対象とした「いないほうがまし」や「しないほうがまし」などの類語がある。
 現在では、これらから自然発生的に増殖したことわざが多数横行闊歩している。たとえば「見ないほうがまし」「聞かないほうがまし」「言わないほうがまし」「知らないほうがまし」など。

 なお、今回は特別に街頭インタビューを行なったので紹介しよう。

 10歳(女)小学生
 「新しいことわざなんかよりこづかいがほしいです」

 27歳(男)無職
 「昨夜ホテルで彼女から、あんたなんかいないほうがましと罵られて振られました」

 30歳(女)職業不詳
 「ねえ、あなたどこのメディア? 独身? あたし、婚活中なんだけど」

 48歳(男)会社役員
 「ええ?〝無いほうがまし〟ですか? いやあ、私は従来どおり『無いよりまし』のほうが好きですよ。昨晩、ベッドの中で妻にそう言われたので」




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