転職を決めるとき。
【東京女子医大病院 看護師退職】を受け、元医療系人材紹介エージェントとして、久方ぶり?に転職業界のこと書いてみます。
東京女子医大病院 看護師退職
新型コロナウイルスによる経営悪化を理由に、東京女子医大病院が夏のボーナスをカットするので、看護師に大量の退職希望者が出ているとされる問題。
(7月19日時点では、【原資】が確保され、ボーナスが出る方向で審議するとの記事もあり。)
この記事だけみると、”ボーナスが支給されないから看護師は辞めるのか?”と思ってしまう方もいるかもしれない。。。いやいや、看護師さんはそんな理由だけでは辞めません。諸々積み重なった問があるから、辞めるかも??、いや、私辞めようかな~??と迷っている人の予測数字がでているだけです。なので、蓋をあけてみれば、大量辞職とならない様な気がします。あくまでも予測ですが。。。
職場を去ろうと思うとき。
医療業界のエージェントとして、丸12年医療従事者と接してきて思うのは、(今回は【看護師】さんに限定しますが、)看護師さんが、所謂、職場を去ろうと思うときは、複数の理由が組み合わさっています。
具体的には、 ①不安。 → 所属している病棟には、師長や主任クラス、同期か、それより下の看護師しかおらず、勤務中で確認したいことや、心配ごとを気軽に相談できる先輩がいない、環境がないこと。
②不満。 → 限られた人数、環境の中で、業務をこなしているにも関わらず評価されない。人間関係等もここに入りますね。
③怒り。 → 看護師としての職務を全うしているのに、常に不安を抱え、不満を抱えていると、それが自分の職場への怒りとなり、”この職場で働く意味はあるのか?””同じ看護師として働くのであれば、もっと良い条件(相談できる人がおり、給与面でも今よりも良く、心地よく働ける病院)があるのではないか”という、転職を考えだす上で、基本的なことを意識しだす。
④諦め。 → 転職を決意するときは、不安→不満→怒り この思考を何度も経験し、諦めの境地に陥り、今の職場を去る決意を強固にする。
①から④までの思考経路を何度も踏んでから、私どもエージェントに相談にみえていました。
なので、東京女子医大病院の看護師退職問題は、今に始まったことではなく、積み重なった問題が実はあったまま、それが放置され、今回のボーナスなし!という形が明確?になり、看護師の不満が一気に噴出しただけだと推測しています。
実際に、退職を決意するのはいつ?
これ面白いのですが、エージェントに話しているときなんです。
私の場合、まず、【転職相談】ということで、看護師さんとお目にかかります。
相談なので、転職を決意している看護師さんにお目にかかるワケではなく、”なんとなーく、相談してみたいな、今の職場のこと。”という感覚で来られる方が殆どでした。
が、お目にかかって、今の職場の話を、自分の言葉で、話しだした時に、フツフツと【不安】【不満】【怒り】を思い出すことになり、それがきっかけで、【見切り】を付けた方が多いです。
自分が置かれている状況(環境)を、エージェント(他人)に話すことで、自分の【今】を振り返り、見切りをつけていく人が多い。
まあ、この辺りは、転職経験がある方であれば、医療業界に限ったことでは思考回路といえると思います。
ここからは、私のエージェントとしての仕事の取り組み方ですが、
・求職者(看護師)が転職を決意してから、動き出す
という基本があるので、実際に、お目にかかっても、転職を決意していない方に関しては、転職を進めることはありません。
転職って、求職者だけの人生ではなく、その方に家族がいれば、家族の人生も巻き込んでいくので、そこは、とても慎重に取り組んできました。
勿論、これからも医療業界には携わっていくので、ご縁があり、相談を頂いた求職者の方には、この初心を忘れずに、対応させて頂きます。
転職する!と決めたなら。
実際に、求職者(看護師)にヒアリングを開始。
まあ、その前に、【今の職場】の諸々を聞いているので、あらためてヒアリングをせずとも、求職者(看護師)が次の職場に求めていることは、ある程度理解しています。
ただ、求職者(看護師)に、再度の意味を込め、イチから、希望すること、NGなことを、確認していきます。
このヒアリングって、結構大事です。
転職を決めたとは言え、求職者(看護師)は、迷います。
水前寺清子さんの歌ではないですが、”一歩進んで、二歩下がる。。”的な感じで進んでいく方もおり、そんな方は、迷いに迷って、どこに落ち着くかと思うと、転職相談で最初にご自身が言っていた内容(希望)に戻っています。
あとは、エージェントが候補として選び出した、転職先を見て、一緒に見学という名の面接にいき、その職場の雰囲気と、看護部長、師長の考え方をきき、ご自身で判断、決めて頂きます。
紹介会社や、エージェントによっては、「ここが良いと思います!」等高らかに宣言する処もある様ですが、最終判断は、ご自身でなさってください。
勿論、判断がつかない場合、”何にひっかかっているのか?”決心がつかないのは、何故なんだろうか?”等、一つ一つの疑問に一緒に向き合っていきます。
エージェントとして、丸12年、転職の仕事に携わってきて思うのは、転職する!と決めたなら、次の職場で、何をしたいのか?ここをしっかり、自分自身と向き合って、話し合ってみてください。
看護師として働ければよいや!的な、安易な考えで、転職を決めてしまうと、万が一、転職先で、今の職場と同じ様な状況に陥った際に、また、転職を繰り返すことになるかもしれません。。。
その辺りのことは、以前【踏ん張る力】でも書いておりますので、こちらをご覧ください。
お手伝いしてきたエージェントとして思うこと。
大学を卒業し、最初の会社に入った際に、親や親戚一同から、【石の上にも3年】という言葉を言われ、”そんなものなんだ。。”と鵜呑みにしてきた私。最初の会社は13年勤務しました。
次の仕事場が、この医療業界の人材紹介業になったワケですが、リーマンショック→倒産→事業部が身売り→G社と、本人も驚くほど、医療人材紹介業で転職を繰り返しています。
で、最後のG社を通して実感したのは、”在籍年数は関係ない。
自分が学びたいこと、知りたかったことを習得できたと感じたなら、次のステップに動き出して良い!
看護師さん達には、”3年を目途に。”と具体的な数字をあげて、お手伝いしてきました。
この3年は、石の上にも3年からきているのではなく(笑)新卒で医療機関に入った看護師さん達が、病棟内で夜勤もでき、一人前として働ける・動ける人になるまでの期間が、だいたいこれ位。そして、後輩を持ち、その後輩のサポートをしながら、自分の業務を見直す機会を持つ期間でもあるかと。
で、今の管理職(看護部長・師長)クラスは、昭和世代の方々がメイン。その方達の中には、私と同じ様なことを言われ、働いてきた人が殆どなので、具体的な数字として【3年】をあげてきましたが、もう、そんな基準は関係ないのかもしれないな~と、このコロナ禍で思ったりしてます。
そもそも社会全体で、【働き方】を考えるときがきているし、そこには例外なく医療従事者も入ります。
まず、大切なのは、自分が仕事をする環境が、心地よい環境であること。そして、信頼できる人がおり、相談できる環境であること。
言葉で書いてしまうと、なんか軽い感じになってしまうけど(笑)、実は、こういうのが、今、求められている職場環境なのではないか?と、私思うワケでございます。
最後に、私事ですが、8月から、新しい会社で働くことになりました。医療業界に関与している会社になります。エージェント業はメインにはなりませんが、ご縁を頂いた方々には、これからもエージェントとして接して良いとのお墨付きを貰っております(*^^)v。
なので、”この人に相談してみたいな~”と思われた方がおりましたら、ご相談頂ければ幸いです。