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ミャンマー内戦⑫揺らぐ連邦政治交渉協議委員会(FPNCC)


連邦政治交渉協議委員会(FPNCC)とは?

連邦政治交渉協議委員会(FPNCC)とは、ワ州連合軍(UWSA)が主導する少数民族武装勢力(以下、EAO)の同盟である。加盟組織は、UWSAの他、ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)民族民主同盟軍(NDAA)カチン独立軍(KIA)シャン州進歩党/シャン州軍北部(SSPP/SSA-N)タアン民族解放軍(TNLA)アラカ軍(AA)の7つ。

このうちMNDAA、TNLA、AAは3兄弟同盟、3兄弟同盟にKIAを加えて北部同盟という同盟内同盟を結成している。

FPNCCは、2015年、テインセイン政権下で結ばれた全国停戦協定(NCA)に批准しなかったEAOによって、中央政府との交渉において統一戦線を築くために2017年に設立され、UWSAが議長を務め、KIAが副議長を務めている。

中国から兵器を供給しているUWSA主導の同盟ということで、中国の影響下にあるEAO同盟と考えて差し支えない。裏返せば、彼らの動きを見れば、中国の思惑がわかるということである。ちなみにFPNCCは全EAOの兵力の80%を擁するミャンマー最大のEAO同盟である。

1027作戦成功後の同盟内の対立

2023年10月から2024年1月にかけての1027作戦により、3兄弟同盟は領土・利権を拡張したが、その後、FPNCC加盟組織同士で深刻な対立が生じている。

シャン州軍北部(SSA-N)とタアン民族解放軍(TNLA)との対立

1027作戦後、TNLAはクッカイマントンナムカムナムトゥーなどのシャン州各都市の支配権を主張し、各所でシャン語の標識をタアン語に書き換えている。ナムカムからはSSA-Nの部隊を強制的に立ち退かせた。しかしSSA-Nはナムカムは伝統的に自分たちの土地だと主張し、TNLAのこのような活動が続けば、軍事的行動も辞さないと警告している。

カチン独立軍(KIA)とタアン民族解放軍(TNLA)との対立

KIAは1976年以来、長年にわたってTNLAを技術的・財政的支援してきた。
しかし1027作戦後、TNLAは、KIAがクッカイ、マントン、ナムトゥにおけるTNLAの行政・医療・教育活動を妨害していると主張し、クッカイのKIA事務所を閉鎖し、旗の掲揚を禁止した。さらにカチン族コミュニティが運営する組織を接収、両者の対立が高まっている。

ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)とカチン独立軍(KIA)との対立

MNDAAは、モンコーに掲揚されたKIAの旗を撤去。さらにカチン族コミュニティが運営する学校を占拠して、軍事拠点に転用した。

ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)とタアン民族解放軍(TNLA)との対立

TNLAは、4月、クッカイの建設局からMNDAの旗の撤去し、MNDAAに退去を命じた。これを機に両者の間で戦闘が起こり、多数の死傷者を出した。

矛盾した思想的スタンス

UWSAは国軍とNUGとの対立において中立の立場を維持しているが、KIAはNUG・PDFと連携して国軍と戦う努力を続けている。FPNCC内部にはこのように深刻なイデオロギー的分裂がある。

将来への展望

FPNCCの内部対立は、領土的野心と民族ナショナリズムに起因するものである。領土紛争が続けば、FPNCC内の分裂が進む可能性があり、そうなればシャン州北部の暴力と不安定が増大するだろう。
親友が最悪の敵に変わる可能性があるのだ。

以上。


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