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起立性調節障害に隠れていたもの(1)

高1そら 
2023年2月

急に頭痛で登校できない日が増えました。
そらの高校生活は送迎から始まり、自分での電車通学と段階を踏み、
無理をしないように意識し、回復をゆっくり確認しながら進めてきました。
そら本人は本当に楽しく高校に通い、中学校に通えずスコーンと抜けた穴を埋めていくかのように、勉強も部活も友だち関係も全て楽しんでいました。
突然の不調の再来に、私は血の気が引く思いをしながら、起立性調節障害の再発を疑ったのですが、
「起立性調節障害とは違う痛み方がする。
あの時より痛い」
と言うのです。
次回の専門医さんへの通院は8月(高2の夏休み)とまだまだ先です。
メールで連絡しようかかなり迷いましたが、そらの
「起立性調節障害とは違う痛み方」
という言葉が引っかかり、連絡はしませんでした。
何度か地元の医療機関に渡す「診療情報提供書」の中身を見たことがあり、
そこに「不調が続くようなら他の病気を疑って適宜検査して」みたいな一文があったので、とりあえず頭痛に詳しい病院に通うことをそらに提案しました。

この頃のそらの頭痛は、朝起きた瞬間から頭痛があったり、頭痛で目覚めることがあったり…でした。
痛み止めもほぼ効かず、昼過ぎまで二度寝をして起きてくるような状態でした。

3月
高校は学年末テストも終わり、成績が出ているので、体調を優先したらいいと返事をくれました。
それまでは少し無理をして登校していましたが、頭痛のある日はとにかく休んで体調を整えることにしました。
そらは近所にある脳神経外科医さんが開院している診療所に通院し、
『片頭痛』と診断され、片頭痛の何種類かある薬を合わせることになりました。
片頭痛に効くといわれるトリプタン製剤はじめ、何種類もの薬や漢方薬を試しましたが、効いている実感はなく、副作用が強く出たりで、なかなか合う薬がありません。
朝、目覚めると共に頭痛を感じ、その時試している片頭痛の薬を飲んでは寝入って、
昼過ぎに目覚めた時には頭痛が少し治まっている…の繰り返しでした。
昼過ぎの「少し治っている」のが、薬の効果なのか、眠ったからなのか、判断ができませんでした。

このような状態だったので、高2に進級しても、4月5月と安定して登校できず、欠課時数が増えていきました。
まさかこんなことになるとは思っていなかった私は仕事を再開していたので、高1の1学期のように毎日高校に送って行くことができず、
なんとか夫と分担して、そらを高校に送っていく日々でした。
それでも頭痛が酷すぎて休む日が増え、高校からもこの先への心配の声が出てきました。
高校には入学当時、起立性調節障害が再発した時のことも考えて覚悟していると伝えていました。
けれど、いざその瞬間がくると、ただただ悲しいだけでした。
また諦めなくてはいけないのか…と。

5月末。
思うように登校できないことを近所の脳神経外科Dr.に改めて相談に行くと、念のためにMRIを撮ることを提案されました。
CT検査は早々に受けており、腫瘍や脳梗塞等がないことは確認されています。
なので、私もそらも何もないだろうと本当に軽い気持ちで受けたMRI検査でした。
診療所ではMRI検査はできないので、少し大きい病院で受けました。後日データを持って診療所へ画像診断を受けに行くことになっていたのですが、
出していただいていた予防薬(デパケン、ノイロトロピン)が効いていたのか、
たまたま頭痛が落ち着いたのか、
私や夫が送れる日が多かったからか、
登校できる日が多く、
画像診断に行くまで約1ヶ月、ほったらかしにしていたのでした。
通えるうちに通って時数を確保しなければという気持ちが強く、診療所の診察時間内に連れて行ける日がなかなかなかったのです。

そして6月末。
そろそろ画像診断に行かなくちゃねと、高校帰りのそらと合流し、診療所へ行きました。
脳MRIの画像にも腫瘍等もなく、
「何もないね、いいね」
とDr.がおっしゃいました。
私もそらも「だよね〜」と思っていた時、
「あ。血管も撮ってたね」
と、脳MRAの脳血管の状態を確認し始めました。
私はMRIで血管を調べられるとは知らなかったので、興味津々でその画像を見たのですが、
なんだか異様に思うくらいに血管が多いな、白く煙ってるみたいだなと思いました。
でも脳だから血管が多いのかな?と思い直していると、
Dr.が
「え!?」
と声を上げたんです。
私とそらも『え?』と顔を見合せました。
診療所Dr.はとても落ち着いたクールな方で、今まで何回も通院していますが、初めての反応でした。
診療所Dr.は3種類くらいの画像を前のめりになっていろんな角度に変えて見ていました。
そしてしばらくして、正常な方とそらの脳血管の画像が画面上に並べられました。
「何回見てもこの先の血管がない」
と。
そらのMRA画像には、正常な方にはある血管がありませんでした。

「もやもや病」
と、プリントアウトされた紙の下の方に書かれました。
…聞いた事はある。
でもどんな病気かは知らない。
Dr.に
「聞いたことはあるんですが、どんな病気かは詳しく知らなくて…。」
と言ったと思います。
診療所Dr.は
「いいお医者さん紹介するからそこに行ってね。
そこでも詳しく説明してくれると思う。
カテーテル検査が…。
脳血流量が足りてたらバイパス手術はしなくていいし…」
など、ざっと説明してくれたのですが、私たちの理解も気持ちもついていきません。
その時の説明のほとんどを私は覚えていません。
いくつかのキーワードしか覚えていません。
そらは「お母さんっ!カテーテルって何!?」と横からせっつきます。
「後で説明するから…」と言いつつ、
私の頭の中は
『カテーテル検査しなくちゃいけないくらいのものなの????』
とハテナでいっぱいです。
『それにバイパス手術ってどういうこと!?』
と一気に心拍数が上がりました。

診察室を出ると、そらはすぐにスマホで調べました。
「お母さん、難病って出てきた。」
そらが半笑いでスマホをこちらに向けました。
「・・・え??????」
そこには

指定難病22 もやもや病?????????
悲しいとか、ショックとではなく、信じられなくて笑うしかない感じでした。

地元の脳に強いと評判の総合病院を紹介され、
5日後の診察が決まりました。

続く。

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