記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

ドラマ「マイダイアリー」第4話レビュー

「似顔絵と大事な人」

あくびの次は似顔絵だった。
今回は愛莉の回だったが、5人の登場人物の関係が動き出して、かなり「普通の」ドラマ感が出てきた。
というか、かなり面白くなってきた(ちょっとスロースタートすぎる気もするが)。
もう慣れてしまっただけかもしれないが、癖のあるセリフもこれまでほど気にならなくなってきた。
無理矢理いいことを登場人物に言わせようという感じが抑えられ、登場人物の行動やセリフがその場面、キャラクターに合っていて、自然というか違和感がなくなってきたからかもしれない。
とある映画レビューのYou Tubeチャンネルを見ていたら、この脚本は、同じ坂井裕二門下の生方美久の脚本に似ているという感想があった。
生方美久脚本のドラマは見たことはないので、このドラマの放送が終わったら見てみようか。
映像の撮り方も、今までの固定カメラ中心のものから、ドローンを使った空撮や人物の動きに合わせた移動カメラの映像も出てきて、かなり違った印象を受ける。
ドラマの内容、動きに合わせた演出なのだろう。

愛莉の深い悩み

今回の予告を見たときに、優希が似顔絵を見て驚いているのは愛莉が自分の似顔絵を送りつけてきたことに対する驚きかと思っていたが、違っていた。
2年前に遊園地で似顔絵を描いてくれたライオンが愛莉だと分かったからだった。
優希も、なぜ愛莉があの時似顔絵を描いてくれたことを言わなかったのか、そして、なぜ今そのことを告白し、似顔絵をまた送ってきたのかを考えたはずだ。
しかし、優希は似顔絵をちゃんと取っておいたんだね。
広海との初デートの記念の品だったからか。
 
みんなの言う「好き」が理解できない愛莉は、「好き」が理解できないのは自分だけじゃないかと悩んでいる。
 
LGBTQIA+のA、Aromanticというものを知ったのはNHKの番組だった
その番組で、田舎の集落に移住して若い女性が取り上げられていた。
若い人が少ない集落で久々の若い、しかも女性の移住者ということで、集落のお年寄りからは孫のようにかわいがられている。
集落のお年寄りは、「妙齢」の彼女に「いい人」を見つけてあげようとするが、彼女はAromantic で、性別に関係なく人に対していわゆる恋愛感情を持つことがない。
この集落にこのままいたいと思う彼女は、自分がAromanticであること集落の人に告白する。
思い切って(しかもテレビカメラの前で)告白をした彼女の逡巡は計り知れないが、
自分の孫のように思っていた女性がAromanticだった、本人からのその告白に困惑して「俺には分からない」といいながらも、とても辛そうな表情を浮かべる初老の男性がとても印象に残っている。
 
愛莉は、いままで「好き」が分からないのは自分だけじゃないかという意識はあったが、優希と出会って初めて感じた感情、これがみんなの言う「好き」なのかなと戸惑いを感じている。
ひとりひとりの「好き」が違っているなんて当たり前で、愛莉がAなのか、Qなのか、ひょっとしてLなのかなんてカテゴライズに意味があるとは思えない。
同じものを見ているから、それを見ている人全員が同じように見えているとは限らず、同じように見えているかどうか証明する手立てすら持ち合わせいない。
日々の暮らしでそんなことをいちいち考えるのは面倒だから、同じ物を見ているから同じように見えている「はず」だという前提で世の中は回っている。
このドラマは、その前提からこぼれ落ちてしまった人たちの感情を丁寧にすくい上げていくドラマなのかもしれないと思った。
 
このドラマに出てくる5人の大学生には、それぞれに対してサジェストをしてくれる人が登場している。
優希は隣人のトムさん、広海は担当の教授、まひるは母親、虎之介はバイト先の店長、そして、愛莉にはバイト先の先輩和沙。
和沙は愛莉の悩みを真剣に聞いてくれて、非常に適切なアドバイスをくれる。
「ちゃんと見極めた方がいいと思う。
 自分にとってその人がどういう好きなのか。」
「好きってさ、磁石みたいなものだから。」
「噛み合えばうまく引き合うけど、向ける方向間違えたら
 すべてを崩しちゃうかもしれないっていうか」
「考えて、わかんなかったら、わかんなかったでいいじゃん。
 合否の決まるテストじゃあるまいし」
そうだね。愛莉の場合は一歩間違えると、映画「藍色夏恋」のモンとユェチェンのようになりかねない。
答えが分からなくてもいいという一言が愛莉の腑に落ち、その言葉に救われたというシーンは、とても自然で違和感がなくてよかった。
 
そんなアドバイスを受けた愛莉が優希を自分の部屋に誘う様子が、いつもの愛莉と違ってちょっと緊張しているのが、いとおしく感じられる。
人にしてあげることが好きだが、人にしてもらうことには遠慮がある優希を何とか自宅に招いて二人きりの時間を作りたい愛莉の提案が、優希の性格を熟知している人のそれだった。
それを言う見上愛の芝居も愛莉のキャラクターそのもので、とても自然。
しかも、それに対する優希の反応が愛莉の優希に対する萌えじゃかなった「好き」ポイントを突いてくるので、なかなかずるい脚本だ。
優希を自宅に誘いたい愛莉の「もちろんタダでと言いませんよ」いうセリフはいかにも愛莉が言いそうな感じでよいのだが、愛莉が帽子をミシンで縫う代わりに優希に料理を作ってほしいといったときの、「そんなこっち側が楽しいお礼でいいの?」という優希の反応は、まさに愛莉が優希のことを「好き」なところそのものじゃないだろうか。
優希の反応に愛莉はきっとキュンとしている。
 
優希とふたりきりで話をして、自分の気持ちを見極めた愛莉。
愛莉は、優希の似顔絵を描いて優希に渡したいと思っている自分の気持ちを確認したが、言い出せなかったという。
愛莉の目に映った「愛莉の中の優希」を優希に知ってもらいたい、ということになるのだろう。
なかなか言語化が難しい感情だが、絵なら表現できる。
和沙にちょっと強引に誘われて、人間の姿ではなくライオンの姿で優希の似顔絵を描く愛莉。
(ライオンの手のままデッサンするのはなかなか大変だと思うが)
愛莉にとっては、周りの人の存在なんて目にも耳にも入らない至福の時間だったはずだ。
しかも、似顔絵を受け取った優希は愛莉が想像していたとおりの感想を言ってくれるなんて、これ以上ない幸せな時間だったはずだが、そのあと広海が全部持っていってしまう。
広海との関係を「考え中かな」といっていた優希が目の前で恋に落ちる瞬間を目撃してしまうのは、何とも切ないな。
ライオンの頭で愛莉の顔は見えないが、その顔を想像してしまう。
その場に居合わせた和沙が控室に戻ってきて、牛の頭を取ったときの表情が全てを物語っている。
でも、そのあとすぐに「オイこら!女の子を困らせんな」とスケッチブックに書いて、広海に見せるあたりは、いかにも愛莉っぽくて好きだな。
愛莉は、口は悪いが、とても聡明で頭の回転が速い。
あのシーンを見せられて、驚きとショックがある中すぐにこのコメントができる愛莉はとても素敵だなと思う。
 
愛莉は和沙のアドバイスで2年待った。自分の気持ちを確認するのに2年かけた。
このドラマの都合上、2年でないと行けない。
就職で東京と優希から離れた愛莉が、2年という時間の経過と会えなくなったという状況になってもなお、自分の心の中に優希が居続けているということを確かめて、あの似顔絵を色付きで送った。
色つきというのも比喩的で、2年前は鉛筆書きのデッサン、モノクロームだったのがカラーになったのは、愛莉の優希に対する気持ちの解像度が上がった、自分の気持ちがはっきりしたということになるのだろう。
 
ライオンの姿で優希の似顔絵を描いてから2年、人間の姿をした愛莉が電話越しでの告白。
好きとかきらいとかじゃない、自分の「大事な人」だと確認できたその想いを優希にようやく伝えられた。
優希の答えは、「私も同じだよ」。
優希は愛莉の自分に対する想いを知っていたのか。
「やさしい」優希からは、どちらともとれる絶妙な答えが発せられる。
この優希の「同じ」は、愛莉の「大事な人」という想いとは同じではないことを愛莉は多分分かっている。
優希にとっての愛莉はone of themとして「大事な人」であり、愛莉とっての優希は「好き」が理解できなかった愛莉が初めて「好き」を感じられた、特別に「大事な人」。
愛莉はこの告白をするに当たって、自分の「大事な人」である優希がどんな反応をするかを予想していたはずだ。
愛莉の「大事な人」優希は、愛莉の想像どおりの「やさしい」答えをくれた。
だから、愛莉は、あのちょっと切なげな笑顔になったのだろう。
愛莉が切なく感じながらも、ようやく優希本人に自分の想いを伝えられたという結末がとてもよかった。
 
前回はまひろの告白があったし、虎之介にも20時さんとのことについての告白があったので、この分だと広海にも優希にもありそうだ。
虎之介の告白はともかく、まひろと愛莉の告白が予想以上にヘヴィーなので、広海と優希の告白となったら、聞かなければよかったクラスの重さになりそうでちょっと今から恐い。
そんな重い告白に対する仲間の「やさしさ」が、このドラマを「癒やし」のドラマにしているのだろう。

表情で感情を表す

今回も解説放送版をTVerで視聴したが、今回からは視聴環境が整ったのでリビングの4Kテレビで見た。
やはり大画面で見るのはいい。
音声はヘッドフォンで聞いていたのだが、愛用のゼンハイザーHD595はセリフの細かいニュアンスまで拾ってくれる。
清原果耶の何が好きって、その声。
今回の前半部分で、清原果耶演じる優希の声が微かにかすれているというか、ほんの少しハスキーになっているのに気づいた。
後半のシーンは、いつもの声に戻っていたが、やや喉の調子が悪かったのだろうか。
 
今回は、解説部分に画面だけでは分からなかった情報はなかったが、毎回登場人物がこの場面でどんな感情かというト書き的な説明はある。
このドラマに出てくる役者さんは皆演技が上手なので、説明なんかなくても、表情だけで、その場面での登場人物の感情を表現できているのだが、そのことを解説放送版で答え合わせをする感じだ。
 
今回は愛莉中心の話で、愛莉を演じる見上愛は、愛莉の自分自身でも理解できていない優希への感情を表情で演じるシーンが多かったが、自分自身でもうまく理解できていない愛莉の微妙で繊細な感情のニュアンスがその表情から十分伝わってきて、さすがだなと思った。
 
特に印象に残っているのは、優希と広海は愛莉が思っていた以上に親密になっていると分かってシーンで、嫉妬までには至らないが心にチクッと痛みを感じるような表情をしたところ。
あとは、優希のことを和沙相手に串カツ屋で語っているときの愛莉の生き生きとした楽しげな表情かな。
普段の愛莉がほとんど見せない表情で、おそらく愛莉自身は自分がこんな表情になっていることに気づいていないで「好き」なことを語っているという表情。
広海が数学のことを語っているときと同じで、ここは広海とパラレルになることが意図されているのだろう。
 
さて、主人公の優希だが、ここまで優希があまり魅力的なキャラクターに感じられなかった。
しかし、今回の優希は魅力的に見える。
その理由は、これまで表情の変化が少なかった優希に、ほのかな「好き」の感情が見えてきたからだと思う。
優希の表情も化粧も微妙に変わっている。
言われないと気づかないぐらいの微妙な表情の変化だが、見ている方は「あれ、今回の優希は何かこれまでよりかわいい」という印象を持ってしまう。
期せずして二人きりで遊園地に行くことになった優希と広海。
ライオンの姿をした愛莉に描いてもらった似顔絵を見て優希が「うれしい。こんなにきれいに描いてもらえて」と愛莉の予想どおりの反応を示して、愛莉がまたキュンとしているときに、かなり天然な広海が思わずぽろっと「恩村さんは恩村さんが自分で思っているよりずっときれいだよ」と言ってしまう。
このシーンに至るには、本人を目の前にしてこんなことを言わなさそうな広海に、思わず本音がぽろっと出てしまった感じでこのセリフを言わせるような魅力的な優希でないといけない。
それを考えた上での今回の優希のこの表情、もっといえばこの優希が恋に落ちる瞬間から逆算して初回から前回までの優希の表情を作っていたとしたら、清原果耶はさすがと言わざるをえない。
でも、たぶんそうなんですよ、清原果耶という人はこういうのを考えて実行できる人なんですよ。
 
しかし、愛莉の部屋での広海に関するふたりの会話のフリが効き過ぎている。
 あ「確信持つときって、どんなとき?」
 ゆ「うーん、どきっとして、胸が熱くなるみたいな瞬間?」
 あ「それって、どんなとき?」
 ゆ「予想外のことを言われたり」
 あ「予想外のことって?」
 ゆ「分かんないけど」
 あ「『君、かわうぃーね』とか?」
 ゆ「何それ?」
 あ「えっ?昔はやってなかったっけ?」
 ゆ「『君、かわうぃーね』? 徳永君が?(失笑)」
 あ「ごめん、ごめん」
 ゆ「この人の中に私がいるんだっていうか、
   私のことを見てくれているんだって実感するようなことっていうか、  
   だって、それって予想外でしょ?」
 あ「うん、確かに」
 
冗談めかして往年のギャグ「君、かわうぃーね」というならともかく、今時ドラマの中の女たらしでもいわなそうな「君は君が思っているよりずっと綺麗だよ」なんてドが付く臭いセリフを、そんなこと一番言わなさそうな広海に真顔で言わせるなんて。
それも、広海のことを十分意識している優希本人に面と向かってですよ。
このドラマに似つかわしくないラブコメ要素を入れてくるあたりは、ドラマでも意外性って大事だなって思う。
それを言われたときの優希の顔がまた。
今まで見たことのない清原果耶の顔が見られた。
優希のハートが打ち抜かれた音が、画面越しに聞こえてきた。
意識している人に不意を突かれて至近距離からあんな純度の高い弾を撃ち込まれたから、優希でなくとも「私好きな人できた」になっちゃうよ。
そしたら予想どおり、お母さんの遺灰に向かって「私好きな人できた」だもんな、そりゃそうなるよ。
 
そうすると、やはり初回冒頭シーンの優希の表情が気になる。
2年後、広海とふたりでいるのに、沈鬱ともいえる表情を浮かべる優希は、広海との関係がすっかり変わってしまったということになるのだろうか。
 

遊園地

優希と広海がふたりで遊園地に行くことになるシーンで、広海の部屋が登場した。
女性3人の部屋は既に登場しているが、お金持ち設定のまひるの部屋はともかく、
優希と愛莉の部屋は東京でひとり暮らしをしている大学生の部屋としては広すぎて、おしゃれで違和感があったが、広海の部屋は物が少ないのに雑然としていて殺風景で、ひとり暮らしの男子大学生の部屋という感じで、とても親近感がわく。
引っ越してから半年ぐらい経つのに、引っ越したときとあまり変わっていないようだ。
 
遊園地の前で待ち合わせた広海に対して、優希が照れを隠すようにやや緊張した面持ちで「やっほ」と声をかける。
いくらド天然の広海でも、あのルックスと表情で「やっほ」と言われたらやられる。
普通の人なら立っていられないぐらいの破壊力。
カボチャの帽子をかぶった優希といい、優希のキャラクターにない意外性のあるシーンは、破壊力満点である。
優希という役が清原果耶の宛て書きだとすれば、映像化されたときの破壊力を考えながら脚本は描かれている。
何せこの後、ド天然広海に優希への気持ちをはっきり意識させないといけないのだから。
 
そして、トルネートポテト。
「人生はトルネードポテト」
あれをトルネードポテトと呼ぶことを今まで知らなかったが、「人が生きていくことというのは、方向性を持った螺旋のようなもの」というイメージを自分も持っていた。
自分の場合は、トルネートポテトのように方向性がまっすぐとは限らず、曲がりくねって、どちらに向かうかわからないもの、下に向かったり、下手をすれば逆戻りもあるというようなイメージだった。
いいこと言えそうだったのに、うまく言えなかったのは、優希の前だったからかな。
このトルネードポテトも、後に影響してきそうなアイテム候補のひとつ。
 

矢印の向き

第4話のまでで登場人物の矢印の向きを整理すると、
優希→←広海
愛莉→優希
まひる→虎之介
ということになるだろうか。
 
それぞれの矢印の中身は違っているが、矢印の向きは現状こういう感じだ。
まひるの新しい推しが虎之介になるというのはちょっと意外だったが、このことが5人の関係をドロドロにするきっかけにならないことだけを祈っている。
虎之介が何もないところで派手に転んだり、ラーメンに胡椒入れすぎて、くしゃみしたり、辛くてむせたりする姿に、まひるが「尊さ」を感じたのは、RIM様が激辛チャレンジをしているのを見ている感覚に近いんだろうな。
しかし、「推し」だの「現場」だの「在宅」だの「尊い」だの、ちょっと前なら一部のコアなアイドルオタクしか知らなかったような言葉がドラマのセリフに登場するとは(しかも「現場」と「在宅」に至っては愛莉の解説付きで)、時代も変わったなと思う。
 
虎之介の矢印がどっちを向いているのかだけちょっと分からないが、虎之介が気になっているのが愛莉なのは間違いないだろう。
「長谷川さんって恩村さんのこと好きなの?」
いつもは冗談めかして話すことが多い虎之介が、ここだけ直球ストレートな聞き方なのは、やはり愛莉のことが気になっているからだろうな。
次回の予告で、女性3人だけで例のファミレスで話をしているシーンが映っているが、なんだか深刻そうで、愛莉が涙を浮かべているように見えるのが気になる。
 

次回は広海の回

次回の予告を見た。
予想どおり、いよいよ広海の話。
次回のサブタイトルは「くつ下と居場所」。
毎回登場する日常アイテムの「くつ下」はともかく、アメリカ留学から逃げてきたギフテッド広海の回のサブタイトルが「居場所」ですか。
これだけで十分重い内容になりそうだが、「どう?人と違う人生を歩むって?」って愛莉が広海に真顔で聞いているよ。
広海はまだ二十歳ぐらいなんですけど、今回以上にヘヴィーになりそうは気配を十分感じる。
「人と違う人生」を自分の意思で選択したならまだしも、子供の頃に自分の意思とはおそらく無関係なところで「人と違う人生」を選ばされた広海の今の居場所はどこなんだろう。
偶然会った昔の友人にさえ、そんな自分を「売られてしまう」広海に居場所はあるのだろうか。
広海がバイトを始めるのは「普通」になりたいからか。
広海のバイトに付き合っちゃう虎之介はやさしすぎるぞ。
「普通」になれないことを悟った広海がまたアメリカに戻ろうとする選択を「やさしい」優希は後押しする、という展開が頭の中を巡った。
「乗り越えようと思ったときには、肩車ぐらいしてあげるよ」
と広海に言った優希だが、優希には広海の抱えたものは重すぎたのではなかろうか。
 
そうすると、次々回は優希なのか?
遊園地のシーンで、さらっと優希の口から優希の家族構成が語られて、ちょっと驚いた。
 ○東京でひとり暮らしの大学3年生→既出
 ○母を亡くしている→既出
 ○4人家族で、父と母、そして姉がいた→New!
二人姉妹だと、妹の方が活発になるケースが多いような気がするが(清原果耶も二人姉妹の妹)、優希はかなりおっとりキャラだな。
 
そうすると、大学生の優希の状況がますます謎だ。
お母さんは亡くなっているとして、お父さんとお姉さんの現在は?
優希がひとり暮らしなのは、地方から上京してきたからか?
教育学部に行くのに、わざわざ東京の大学を選んだのはなぜ?
ひとり暮らしをしたかったから? その他の理由があるのか?
家族4人で遊園地来たときの行動パターンが父と姉、母と優希で違ったという話を広海にしていたが、母が亡くなって、父と姉とは(心の)距離ができたってことか。
お父さんが再婚して、姉は新しい母になじんだが、優希はなじめずいて、東京でひとり暮らしというパターンもありそうな気がする。
 
最大の謎は、優希の母の遺灰。
なぜ、母の遺灰を優希が持っているのか。
父と姉も亡くなっていて優希は天涯孤独だとすると、なぜ母の遺灰だけを持っているのか。
父と姉が生きているとすると、優希の希望で母の遺灰の一部を持っていることになる。
優希が亡くなった母に対する想いが人一倍強かったとしても、遺品でも遺影でもなく、なぜ遺灰なのか。
しかも、その遺灰に毎日語りかけていて、「私ね、好きな人ができた」まで報告までしている。
やはり、ちょっと「普通」ではない。
 
5人(トムさん含む)が優希の部屋に来たときに、母の遺灰はクローゼットに隠した。
以前トムさんが優希の部屋にスイカを持ってきたときは、この小瓶をどうしたのだろう。
自分の母が亡くなっていることは、遊園地に来たときの自然な流れで広海にしている。
まひるや愛莉には母が亡くなっていることは話しているのか。
優希が隠しているのは、自分の母が亡くなっていることか、それとも遺灰そのものなのか。
それにしても、なぜ遺灰なのか。
まさか、優希のアイテムは「遺灰」ってことはないよね。
優希メインの回のサブタイトルが「遺灰と○○」なんて、まさかね。
いや、「小瓶と○○」ぐらいはあるかもしれない。
 
ドラマの冒頭のシーンが重要という話は、吉川愛もインタビューの中でしていた。
このインタビューのときに着ている衣装からすると、制作発表会見後に撮影したもののようだ。
(清原果耶が履いているDiorのスカートはかなり目立つ。)
このドラマの脚本家が、このドラマを脱稿したことを最近投稿していた。
制作発表会見の時点で、どの程度撮影が進んでいたかは分からないが、少なくとも最終話までいかなくても、冒頭のシーンが重要だと言うことが分かる脚本になっているということだろうか。
とすると、就職してからの5人が最終話あたりで描かれることになるのだろう。
優希が「人生の日記」という言葉を使っている謎も解けるのかな。
 
今回の第4話が愛莉の回で大学3年生の秋。
次回第5話が広海の回として、次々回第6話が優希の回とすると、5人の登場人物の掘り下げだけで6話分使ってしまい、残りは2話か3話(カレンダーからすると全8話という線が濃厚)。
ここまでのドラマの展開からすると、第6話目くらいまでは大学3年生のときのことが描かれるような流れなので、就職を控えた大学4年生のときの話が第7話で、就職後が最終話ということになり、かなり巻きが入る展開になりそう。
このゆったりした雰囲気がよかったのに、残り2、3話でいきなりスピードアップは勘弁してほしい。

いいなと思ったら応援しよう!