「BABYMETAL LEGEND-43 THE MOVIE」Dolby-ATMOSレビュー
映画館で上映されるBABYMETALのライブビューイングは何回か行っているが、今回は映画作品として仕上げられた初めてのものだ。
まあ、それだけだったら、見ようかどうかちょっと考えるところだが、音声の仕様がDolby5.1ch仕様だけじゃなくて、Dolby-ATMOSもあるらしいということで、これは見ねばなるまい。
音響が特別仕様と言うこともあり、自分の地元では上映館がなく、遠出して見に行くことにした。
上映館によって、音声仕様が異なるらしいので、どうなるものかとおもっていたら、Dolby-ATMOS版を見られることが分かった。
劇場でDolby-ATMOS音声を、しかもBABYMETALのライブで見られるとは、オーディオ好きのメイトとしてはたまらん。
見に行ったのがTOHOシネマズの映画館だったのだが、上映スクリーンがTOHO独自のラージスクリーンTXCだったのでますます期待が高まる。
公開開始から3日目の日曜日に見に行った。
上映スクリーンが限定されているためか、1日1回のみの上映で、18時からの上映だった。
いつもはイオンシネマで映画を見ることが多いので、TOHOシネマズは初めてだったが、シネコンなのでそれほどつくりは変わりがない。
イオンシネマズで映画を見る時と同様にネットで席を予約し、映画館の自動発券機でチケットを受け取った。
日曜の夜だというのに結構お客さんがいる。
その中にベビメタTを着たメイトさんの姿もちらほら見える。
自分も黒パン、シャツ中にベビメタTを着てくればよかったか。
映画館の売店にはLEGEND-43のツアーグッズも並べられていたが、どれも今ひとつだったので、今回はパス。
上映開始時間の10分前に入場開始となった。
入場口で、よくある円形のうちわをもらった。
上映スクリーンの中に入ると、席数が280あるのでかなり広い。
通常の映画館より座席の傾斜をとってあるようだ。
このスクリーンには、通常の座席の他に、座席列中央にプレミアムシートとワイドコンフォートシートという有料シートが2種類設けられている。
最初プレミアムシートを予約しようと思ったが既に中央付近の席がとられていたので、その2列後ろのワイドコンフォートシートを予約しておいた。
シートのつくりもいいが、座席ごとに専用の肘掛け左右に付いているのがよかった。
スクリーンは、かなり大きい。
スクリーンの大きさに対して、スクリーンの距離がそんなに離れていないのでより大きく感じる。
肝心のスピーカー構成だが、まず目を引くのは、天井に2列に並んで配置されているスピーカーだ。
メインのスピーカーは短いスタンドで固定されている縦長の形状をしている。
1列で15基ほどあっただろうか。
その脇にサブウーハーが天井埋め込みで、こちらも10基ほど設置されている。
同様のものが、左右の壁にも配置されていた。
正面はというと、巨大なスクリーンの上にサブウーハーが2基見えるが、メインのスピーカーが見当たらない。
セリフを出すセンタースピーカーがあるはずなのだが、目視できなかった。
スクリーンでは、TOHOシネマズの紹介の映像が流れていたが、見たことない若い女優さんと思われる女性がしゃべっている。
東宝系の映画館なので、東宝芸能の女優さんなのか
調べてみたところ、たぶん福本莉子。
声の定位はそれほど悪くないが、定位のバッチリ決まったピュアオーディオレベルの定位は求めてはいけない。
ここは映画館だ。
音が最もよく聞こえそうなシートを選んだつもりだが、女性の声の音像はかなり大きく感じられる。
日曜日の夜、しかも通常の映画の倍ほどの料金設定で、内容がベビメタのライブということで、普通の人が見てみようかと思ってふらっと入る映画ではないから、客席数の10分の1ほどしか客は入っていなかった。
今日来ている客は、自分も含めてガチのメイトだけだと思う。
「正装」をしている人も多い。
公開予定の映画の予告映像が流れていたがいよいよ上映開始。
その前に、Dolby-ATMOSのデモ映像・音声が流れた。
木の葉が舞い落ちる映像だ。
舞い落ちた木の葉が左側からぐるっと回って、落ちながら1周するところでは、きちんと木の葉が頭の遠いところを1周するのが感じられた。
ただ、上下の違い、高いところから低いところへ葉が落ちていく感じは左右ほど感じられなかった。
この手のデモ映像・音声は、その仕様の特徴が分かりやすいようかなり極端なつくりになっている事が多く、立体的な音響効果をもっと感じられてもよいのだが、座った席が悪かったのか、劇場のDolby-ATMOSに期待しすぎたせいなのか分からないが、思ったほどの立体的な音は感じられなかった。
そして、いよいよ本編開始。
セットリスト
01. BABYMETAL DEATH
02. Distortion
03. PA PA YA!!
04. Shanti Shanti Shanti
05. MAYA
06. BxMxC
07. Brand New Day
08. Monochrome
09. メギツネ
10. ギミチョコ!!
11. KARATE
12. ヘドバンギャー!!
13. メタリ!!
14. Road of Resistance
最新のスクリーン、映像機器を持ってしてもBABYMETALのライブの再生は厳しい。
暗いステージに、赤のみの照明とか、スポットライト多用でコントラストが非常に高いとかちゃんと映像を見せるにはやはり厳しいソースだ。
また、画面が大きすぎるので、4KテレビでFHDのソースを1.2m程度の距離で見る場合の解像度には及ばないような気がする。
スクリーンサイズに対して座席までの距離が少々近すぎるように感じた。
スクリーンに正対してみると、スクリーンの両端が少し見切れるように感じて、もう少し離れた席にすればよかったかもしれない。
ただ、何インチか分からない巨大なスクリーンに映されるSU-METALの御尊顔のどアップが見られるのは、やはり幸せである。
音に関しては、Dolby-ATMOSも含めDolbyのサウンドシステムというのは、映画用のものであることを再確認する結果となった。
曲間の観客の声が遠くから聞こえてくるのは、まさにライブ会場にいるような雰囲気だが、実際は遠くからだけでなく、近くからも観客の声が聞こえてくるので、そのあたりはサラウンド音声のチューニング次第ということころはあるのだが、そういう感じには仕上がっていなかった。
音楽の間接音というか反響音はかなり少なめ。
ステレオ2チャンネルのライブ音源よりも間接音は少なめに感じられる。
音の解像度は、PA卓周りのライブ会場の音とスピーカーで聴く映像作品の中間といったところか。
バキバキの高解像度という感じではないが、十分高音質で聞きやすく仕上げられていた。
サブウーハーの口径があまり大きくないこともあり、低音は量よりも解像度重視。
ライブ会場ではほぼ全く聞こえてこないベースラインがバスドラムに埋もれず、ちゃんと聞き取れる。
左右のギターの神の音はだいぶ違うのだが、その違い、ニュアンスもしっかり感じられる。
そして、ドラムス。
ぴあアリーナで感じたみぞおちにガンガンくるバスドラムほどではなかったが、耳ではなく腹に感じられる音になっていた。
低音が会場内に響きまくって、他の音をマスキングするようなことはなく、音のバランスはかなり良好。
そして、ボーカルについては、最近のライブ音源よりはかなり前に出てくる設定にしてあるようで、ライブ感は少々乏しい感じはするものの、音質そのものは良好。
十分SU-METALのボーカルを堪能できる。
音量そのものは爆音と言うほどではなく、ライブ用に耳栓が必要なほどではなかった。
音の総評としては、映画館という環境を考えれば十分な音質と音量が確保されており、ラブとの比較では、ライブ会場ではまず感じられない音の分離感、解像度が感じられるものだった。
映画館でのライブビューイングも何回か見ているが、あまり再生環境が良好でないミニシアター系の映画館での音を考えると、雲泥の差がある。
高音の抜けはともかくとして、低音に関してはシアター用のサブウーハーだが、意外と分離がよくブーミーにならなかったので、そこが一番評価できる点だろう。
ライブの内容そのものは、ワールドツアーのファイナルで特別な演出があったものの、基本的には、実際にライブに行ったLEGEND-MMとほぼ同じ。
会場はベビメタのライブとしてはかなり小さめでキャパ5000人くらいなのか。
開場の規模感でいうとLEGEND-Sが行われた広島グリーンアリーナが一番近いと思うが、それよりもさらに小さい。
開場の規模が近いからなのか、セットもメインステージの向こう正面にサブステージを配置して、その間を花道でつなぐLEGEND-Sタイプ。
違うのは、セットが狼みたいなキツネさんではなく43(シーサー)になっていること。
特別な演出は、「メタり」でエイサー太鼓隊が登場したくらいだったかな。
しかし、エイサー太鼓隊が着けていたお面のモチーフは何だったんだろう。
2023年から続いた長いワールドツアーの最後ということもあってか、3人の笑顔が特に多い。
そして、とにかく楽しそう。
MOMOMETALが正式に加入して約1年、すっかり馴染んできたらしく、雰囲気はとてもよさそう。
これで、しばらくはBABYMETALも安泰ですな。
久しぶりにSU-METALの歌をじっくり聴いたが、やはり自分にとってSU-METALの歌声は特別だということを改めて感じた。
「THE OTHER ONE」の曲は、これまでになくメロディーに歌謡曲感が強く好きなのだが、「MAYA」と「Monochrome」でのSU-METALの歌声を聴いていると、幸せを感じる。
そして、歌う姿の美しさ、キメ顔のかっこよさ、自分にとっては唯一無二の存在だ。
そんなことを考えていたら、ちょっと目頭が熱くなってきた。
本編終了後、2分間の撮影タイムがあった。
スクリーンに映る画像をスマホで撮影、SNSで宣伝してほしいらしい。
うーん、SNSでこの画像を見て、映画を見に来る人が果たしてどれだけいるのか。
とにかくメイトの固定化、高齢化が進んで、国内の支持がジリ貧になっているのは目に見えているから新規の、特に若いファンを増やしたいところではあるが、この映画もそうだが、ベビメタのライブチケットは高額だからな。
若い時にロックを当たり前のように聴いていた世代ではない人たちの目に、現在のBABYMETALはどう映るのだろう。