ぺにんすら

度々変な夢を見る。
頭部が恐竜だか爬虫類だかで、首から下が魚類のトンチキなペットを飼ってる人の話とか、手に取れる物なら何でも丸呑みにして、しまいには胃袋が裂けてしまった女の子の話とか。

そんな中でも忘れ難い夢がある。正確に言えば、耳にこびりついてしまった音がある。

「産まないで」
っていうヒステリックな声。多分持ち主は女性。
紛れもなくその声によって眠りから引き剥がされたから、その後ストーリーは続かないんだけどその前の話の展開は確かこんな感じ。
自分はとある戦場に来ている。状況から判断するに自軍の戦況は芳しくなく、もうそろそろこの地区での殺し合いも佳境なのであろうことがわかる。自分のぐるりには全身硝煙の煤か何かで真っ黒にした仲間の兵士たち。そのうちのひとりがスケッチブック片手に一歩自分の方に近づいて、これに自分の(彼のって意味ね。日本語ってムズカシ)母親の絵を描いてくれと頼んでくる。それに続くようにして他の兵士も同様のことを依頼。戸惑いながらも彼らの母親の肖像を(知りもしないのに何故か描けた)描いて手渡す。すると、先刻まで苛烈な状況に反して悠然としていた兵士たちが次々とくずおれて涙する。そのうち、絵に描いた母親たちが黒いヒョウになって飛び出してくる。追ってくるヒョウの群れ。突如迫り来る死に恐怖しながら無我夢中で戦場を駆け抜けているところに件の叫びを聞いたというわけだ。そこでぷっつりと夢の中の僕はブラックアウトして、現実の僕は見知った天井を目の当たりにしたのだった。

話の展開の突拍子の無さ、不条理さはまあ夢だから目を瞑るとして。まあ、実際目は瞑ってたんですけどね(笑)言うて(笑)
誰の叫び声だったんだあれは。耳ばかりはふさげないもんだから、しっかりと刻まれてしまった。そもそも叫び声なんてあまり気持ちのいいもんじゃない上に、その内容がまた薄気味悪い。

ただ、そういった叫びを聞きとめてしまったことに関して思い当たる節が全くないとも言い難い。
確か、その夢を見る少し前に受けた死生学の授業で半出生主義について触れる機会があったのだ。その授業の間中、母親に常日頃言われていた言葉が何度も想起された。

「あなたが選んで私の元に来たのよ。」

ほんとはうちの母親こんなお嬢みたいな話し方せんけど、便宜上ね。これは小さい頃から繰り返し言い聞かされていた。幼ながらになんでそんなこと断言できるんやろ?って思ってたけど、てんてんの若造になった今はその言葉に潜む暴力性に恐れ慄いている。
別に母のことが嫌いとか憎いとかいうわけじゃ全くないけど、世界に蔓延るやーな風潮、というかなんというか、の煮凝りを咀嚼してるような気分でただ非常におゲボだった。
端的に言ってしまえば、母のやってたこれは一種のブレインウォッシュに他ならない。(と僕は思う、と一応ひと言添えておこうかな。)だってこんなん言うの野暮やけど、まずそちらさんが望まないことには我々元ベイビーズはこの世におらんわけで。それをこちらのせい?にされてもな、、って感じやん。私事ですけど、生きてんのしんどすぎる!もうイヤ!いっそ殺して!いや死ぬのも一苦労やん、、やったら最初から産まれんときゃ良かったやん、、みたいなフェーズが僕には結構あったので、そういう時に母のこの言葉は、あけすけに言ってしまえば、ものすごくストレスだった。

だから話戻すけどね、あの時夢で聞いたあの叫びは僕自身のものでもあり得るし、あるいは、僕からもしかしたら生まれる子供のものだったのかもしれないし、あるいはこの世界でそういったジレンマを抱えている人たちみんなのものでもあったのかもしれないな。

とかってね、
どーなんでしょ。
一つ僕から言えるのは、

もう怖い夢はこりごり〜〜〜!!!

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