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有能な「無知」

 「有能な人は、すべてについて有能である。無知にかけてさえも有能である」。これ、モンテーニュの言葉だそうです。この、無知にかけてさえも有能とは、いったいどういうことでしょうか。

 『生きるのがふっと楽になる13のことば』という本がありまして、本書によれば、「自分は無知だから教えてください」というところから、どれだけ場の話を豊かにできるかということ。たとえば堅苦しい議論の場で、「僕、不勉強ですいません。どういうことでしょうか?」と当たり前に言ってしまうと、おそらく鼻で笑われるのが落ち。

 しかし、相手の「こういうことですよ」という答えに対し、「あ、そうなんですか。では、この場合はこういうことですか?」と、さらに正直に無知をさらけ出して質問してみたとしましょう。そのとき、場の雰囲気を和らげるような人としての可愛げがあったりすると、事情が大きく変わってくるというのです。

 可愛げというのは、単に見た目などではなく、そこでツボを心得た素直な質問ができるということ。すると、相手の反応も、「お、こいつの質問いいな」「意外にちゃんとした経験値を積んだヤツだな」と変わってくる。知りたいという素直さを認められて、相手に「よし、もっと教えてやろう」という気持ちを起こさせ、さらに場全体の集中力まで高めてしまうことさえあるそうです。

 ちょっとした言動からにじみ出る人間性、可愛げ、素直さ、そして、相手の話に真摯に興味を持てるということ。それらすべてが「有能」さの一端ではないか、って。うーん、なかなか示唆に富むお話ですよ。
 


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