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55 草書ってきっとつばめの暗号です

 句集「むずかしい平凡」自解その55。

 口語俳句ですね。最近は口語文語にこだわらず、できるだけ自由に俳句を作りたいと思うようになってきた。

 基本的な型というのはたしかにあるし、それに従っていけば打率も上がる。でも、それだけではなかなか自分自身の深い部分を書き留めきれない、そんな思いも出てきて、つねに試行錯誤ですね。

 これは即興的な句です。

 最近、必要に迫られて書道に親しむようになってきたのだけれど、楷書や行書はまあなんとかわかる。ところが草書っていうのはちょっと素人には歯が立たないところがある。どういう筆の運びをすれば、こんな字になるんだ?

 ただ、なんというか、筆を運んでいる時の勢いとか、時間の流れというのはわからないでもない。

 「つばめの暗号」というのはほんとうに即興で出てきた言葉。

 こういうときは深く考えずに、口語で流れるように。そう、草書のように。

 「って」「きっと」という詰まる音が、すこしその流れに溜めを作ってくれているかも。でも、それだって無意識。

 たいした中身はないけれど、俳句は韻律が響かせてくれる文芸ですね。

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