日記「優秀」
仕事中、「優秀な人材を〜」という話がとなりの会議スペースから聞こえてきた。何やら、難しい話だ。一年契約の私にわかるものではない。しかし『優秀な人材』ということばは聞き取れた。
そもそも「優秀とは」という話にもなるのだろうが、私はこの職場においては、聞こえてきた『優秀な人材』ではないのだろう。もちろん、面接をして狭き採用を勝ち取ったのだから、その点に関しては面接官に響いた何かしらの『優』か『秀』があったんだと思う。
でも、手に職があるわけでも、汎用性の高い学があるわけではない。きっと聞こえてきた『優秀な人材』とは、それらを持ち合わせた人か、または向上心ややる気といった、その人材としての志が高い人のことをいうのだろう。
人に評価されたいニンゲンの私である。けれども評価されたくないニンゲンの私でもある。難儀だなと思いながら、私はデータ入力を再開した。『優秀な人材』だけが明瞭なBGMに耳傍たてながら。