[Netflix]ドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』の魅力
早速ですが、『ピーキー・ブラインダーズ』というドラマをご存じでしょうか? 第一次世界大戦後のイギリスを舞台にしたギャングドラマで、2013年の放送開始以来、6シーズンにわたって多くのファンを魅了してきました。
最近、映画化が決定し、今年の9月から撮影がスタートするとのことで、ますます注目を集めています。
そこで今回は、このドラマの魅力についてご紹介したいと思います。(ネタバレあり)
【時代背景】
まず、本作を特徴づける時代背景をいくつか紹介します。
1.戦火の残煙
本作の舞台は、第一次世界大戦後のイギリスです。主人公トミーをはじめ、多くの登場人物が戦後のPTSDに苦しむ様子が描かれています。時代の波に抗いながらも力強く生き抜こうとする者もいれば、その波に飲み込まれてしまう者もいます。こうしたキャラクターたちの葛藤が、物語の中で生々しい人間ドラマを織りなしています。
2.鉄火の時代
本作の舞台であるイギリス・バーミンガムは、18世紀~19世紀にかけて起こった産業革命の中心地として知られています。街中には至る所に鉄工所が立ち並び、昼夜を問わず火花が激しく散り、鋼鉄が打たれる音が響き渡ります。実際に、本作の多くのシーンは鉄工所を背景に描かれ、取引や銃撃戦など、様々なドラマがこの熱気あふれる場所で繰り広げられています。
3.革命の炎
そして19世紀は共産主義革命の時代でもあります。時代を動かそうとする革命の炎がストーリーにも大きく関わってきます。
このように、至る所で火がつく熱い時代。そんな時代を象徴するかのように本作では「煙」が印象的に描かれます。バーミンガムの鉄工所の煙、競馬の土煙、銃口から出る煙、そしてタバコの煙。
主人公トミーの喫煙シーンはたびたび描かれますが、それがまたとてもセクシーで...
日本のことわざ「火のないところに煙は立たない」や、英語の「smoke」が「争い」を意味するように、本作でも争いが至る所で発生します。
しかし、そんな熱い時代だからこそ、冷静沈着で頭の切れるクールな男、主人公トミーが光って見えます。
【主人公トミー】
1.狂気を操る知略家
すべてを見透かすような鋭い瞳、物怖じしない強靭な心臓、圧倒的な知性とリーダーシップ。そのすべてを備えた主人公トミーの言葉は、荒々しく暴力的・狂気的であるが、故に真実を突いています。トミーを含め、ピーキーブラインダーズの面々は、出生証明もない「ジプシー」と呼ばれる放浪の民の出身。しかし、彼らはそんな底辺から、高貴な階級へとのし上がろうとします。トミーはそのために、あらゆる策略を巡らせ、自分以外の誰も信じない横暴な手法で周囲を巻き込みます。敵味方問わず、彼の計略に振り回される中、トミーは驚異的なバランス感覚で勝利への道を進んでいきます。
2.孤独の中に潜む色気
トミーは戦後PTSDや、自信の横暴な策略により、たびたび周囲との孤立が描かれます。しかし、孤独が故に、強くあろうとし、誰も彼の心に介入することはできません。だからこそ、彼の行動やセリフには、誰の理解も必要としない、静かながらも熱のこもった色気が漂います。特にシーズン1でのグレースとの情事は、その色気が最大限に引き出されています。グレースは敵対する組織の一員であり、IRA(アイルランド共和軍)に父親を殺された過去を持ちます。彼女はその正体を隠し、内情を探るためスパイとしてトミーに接触していました。しかし、2人は隠し持つ弱さ故か、お互いに引き寄せあい、トミーはその嘘を抱いたのです。
ここまで主人公トミーについて語ってきましたが、彼だけがピーキーブラインダーズの魅力的なメンバーではありません。
例えば、彼の兄であるアーサーは、戦後PTSDや鬱に悩まされ、時代のように荒々しく暴力的でありながらも、煙のように消えてしまいそうな危うさを持ち合わせたキャラクターです。
また、伯母のポリーはトミーと同様に頭の切れるキャラクターですが、子供を持つ母親が故か、危険な橋を渡ろうとするトミーとはしばしば対立します。
そんな魅力的なキャラクター勢揃いのピーキーブラインダーズですが、その魅力は人柄だけにとどまりません。
【ファッション】
サイドとバックを刈り込んだツーブロックの髪型にハンチング帽を被り、スリーピースのジャケットと懐中時計、そしてオーバーサイズのコートを纏って立っているだけで、その佇まいは圧倒的にスタイリッシュだ。
もちろんおしゃれなのは男性陣だけではありません。
女性の社会進出が進んだこの時代、ギャルソンヌルックがとてもかっこいい。
ポリーのスーツ姿もかっこいい。
【最後に】
さて、ここまで『ピーキー・ブラインダーズ』の魅力について語ってきました。風のように颯爽と立ち、圧倒的な存在感を放つ主人公トミー。激動の時代、力を持つ者が火を点け、その周囲は煙の如く燻られ、行方は風のままに流れていきます。彼らが最終的にどこに辿り着くのか、映画の公開が待ち遠しいですね!
個人的にアニャ・テイラー=ジョイが好きなので、ジーナの出番があると嬉しい。