心にうつりゆくよしなしごと:守ること
今日は久しぶりに出社した。
ほぼ1か月ぶりに乗ったメトロは、今日もいつも通りのダイヤで運行していたのだけど、みんな席をいくつか空けて座ったり、喚起のために開けた窓からひゅーひゅー風が入ってきたり、やっぱりどこかいつも通りじゃないような気もした。こんな状況の中、毎日電車に乗って出勤し、社会を動かしてくれているエッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちのことを思うと、本当に頭が下がる。
でもいざ自分が外に出ると、ほんの1か月前まで普通にしていた「電車に乗ること」すらなんだか気が引けて、そんな自分に「なんだかなあ」ともやもやしてしまう。
そんなブルーな気持ちを吹き飛ばしたくて、今日は電車に乗りながらディズニーランドのパレード音楽を聴いていた。今日聴いていたのは、ハピネスイズヒアという、ディズニーランドの開園30周年を記念したパレード。
お母さんが「何かディズニーランドに行きたい」と言うから、初めて母娘ふたりで遊びに行った時に見たパレードだ。その日は、初めて一眼レフを持って遊びに行った日でもあった。ファインダー越しに見たパレードは、太陽の光を浴びてきらきらしていた。
そんなことを思い出していたら、不覚にもメトロで目頭がじんわり熱くなった。
特に大人になってからそうなのだが、ディズニーランドでかかっている音楽を聴くと、泣きそうになることがある。
パレード音楽はもちろん、ワールドバザールでかかっている「花のワルツ」や「タコをあげよう(メリーポピンズより)」を聴くと、
なぜかは分からないけれど、「ああ、ここなら大丈夫だ」という気持ちになる。
何の心配をすることもなくお腹の底から笑って、混じりけのない「楽しい」を感じることができるこの場所なら大丈夫だと、守られていると、そんな気がするのだ。
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「魔法でディズニーの世界がぽっと出来たんじゃなくて、クリエイターたちが一部の隙もなく、ただただみんなを楽しませようとして作り上げた、その努力のことを魔法と呼ぶんだと思う」
先日のアナザースカイで、俳優の風間俊介さんがフロリダのディズニーワールドを訪れていた。
風間さんといえば無類のディズニー好きで、以前ZIPの企画で地層の専門家と一緒にディズニーシーにあるプロメテウス火山の地層を解説していたこともあった。あまりのマニアックさにびっくりしたけれど、風間さんの「大好き」に触れて、こちらもワクワクしながらテレビを見ていた。
その風間さんが、ディズニーワールドで「美女と野獣」の主人公・ベルの父親が発明した自動薪割り機をモチーフにしたポップコーンマシンを見て、こんなことを言っていた。これが自動薪割り機だと気付く人はいなくても、そんな細かいところまでこだわるその心意気が好き、と。
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毎日が、特別な一日。初めて来るゲストや遠方から来るゲストもいる中で、「たまたま壊れました」とか「たまたま止まってしまいました」というのが当たり前になってはいけない。絶対にあってはいけない。
アナザースカイとちょうど同じ時期に、プロフェッショナルでも「夢の国スペシャル」と題した特集を放送していた。
ディズニーリゾートで働くキャストは2万人とも言われていて、その職種は接客から非接客まで、アルバイトから専門職まで、多岐に渡っている。中には、ディズニーランドのアトラクションである蒸気機関車、ウエスタンリバー鉄道のメンテナンスなんてポストもある。
何を隠そう、私も小さい頃はディズニーランドで働くのが夢だった。キャスティングセンターの募集要項を眺めては、どの職種がいいかなあなんて考えていたものだ。
番組では3名のキャストに密着していたのだけど、その中でも特に、アトラクションの保守・点検をしている方のエピソードが印象的だった。
テーマパークとは無縁の学生時代を送っていた中、たまたま目にしたオーディオアニマトロニクスというロボットの写真がきっかけで、上京、就職。入社して数年後、精巧な作りゆえ、毎日のように不具合が起きるロボットのメンテナンスを担当するようになってからは、連日連夜メンテナンスをする日々だったそうだ。あまりの大変さに、「こいつさえいなければ」とロボットを壊したくなるようなこともあったという。
そんなある日、深夜からのメンテナンス作業を終え、開園後にロボットの様子を見に行くと、少年が目を輝かせてロボットを見上げていた。
「この人形すげえ、本物みたい」と声を弾ませる少年を見て、「今までの苦労が吹っ飛んだ」という。
メンテナンス作業は、深夜に始まり早朝に終わる。日が当たらないポジションではあるけれど、いつもゲストの笑顔を頭に置いて、絶対に何か起こしてはいけないという気持ちで作業されているそうだ。
番組では、人気アトラクションのメンテナンス作業の様子も取材していた。舞台裏を公開するのはかなり異例のことだそうだが、自分も乗ったことがあるそのアトラクションを見て、本当にありがとう、という気持ちになった。
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小さいころから、家族と、友達と、時には一人で、何度も何度もディズニーランドに遊びに行った。ウォルト・ディズニーが「ディズニーランドは永遠に完成することがない」と言ったように、いつ行っても、何度行っても飽きない。それが当たり前だと、わざわざ意識することがないほどに、当たり前だと思っていた。でもその当たり前は、キャストの皆さんひとりひとりの努力で守られているものなんだ、と気付いた。
「ここなら大丈夫だ」と思うのは、そうやって守られているということに、心強さを感じるからなのかもしれない。
考えてみると、世の中の当たり前は、全部誰かが守ってくれているものなんだと思う。
電車がいつも時間通りに来るのは、スーパーが夜でも開いているのは、ネット通販がすぐに配送してくれるのは、何の理由もなくそうなっているのではなくて、誰かが動いてくれているおかげで守られている「当たり前」なんじゃないか。外出自粛などの影響で普段通りの生活が思うようにできない今、特にそう思う。こんな状況でも「普段通り」が維持されている分野があることに、もっと感謝の気持ちを持っていきたい。
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今の素直な気持ちを書くとしたら、ディズニーランドに行きたくて、行きたくてたまらない。動画サイトでは、休園中でもショーの練習をしているダンサーさんの動画もアップされていた。
どうか体に気を付けてとも思うが、今も夢の国を守ろうとしてくれている人がいるということがとても頼もしく、心強い。
ちなみに、今行けていない分次に行った時は思いっきり楽しもうと友人と話していて、もしハロウィーンの時期に行けたら全身仮装をしようと計画中だ。
きっとその時も、ディズニーの仲間たちやたくさんのキャストが私たちゲストを待っていることだろうと思う。ありがとうの気持ちを胸に、思いっっっっっっきり楽しく遊べるその日のことを、心待ちにしている。
今日の写真は、ハピネスイズヒアのミッキーとミニーです。ハピネスイズヒアは出だしの歌詞がとても素敵。
Joy out of the blue , smiles inside of you
Like a child again, with Micky and friends
Jump, shout and let it all out!
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