太陽の色をした蜜柑
スーパーにところ狭しと並ぶ朝陽色
父さんがにこにこと手に取り
カゴに入れる
こんな事態だからしっかり栄養取らなくちゃね
父さんはただ食べたいから買うんだけど
どっちにしろ
できることは限られている
私たちの時間も限りがある
この人たちとあと何年、こんな時間を感じられるのだろう
父さんが買ってきた陽なた色一つ、
母さんが美味しそうに口に放り込む
その顔に
私が「30までいろいろしてみたけど
どうしても生きづらいから、それなら海外で働きたいの」
と言う
明るい母さんが
滅多に見せない、なんともいえない顔をした
「誰かに迷惑かけずに生きなくちゃならない、
あなたたちが元気な間に
生きる道見つけること
考えた結果がこれです。
生きたくても生きられないの
息ができないの」
無視する私は親不孝なのだろう
夕陽色した道を母さんと歩く
着実に歳を取る
ジョギングしたいのに足が痛いという母さんと
散歩しながら笑う
まったく痩せる気がしないな
口に頬張ると吐き出してしまいそうな
家族という情の鎖の味がした
お互いを尊重したくても
自分もあなたも大切にしてきたつもりでも
どっちかが我慢するしか
ちょっと無理そうなこの現実
苦悶する私たちの
そばで 太陽の色をした蜜柑が転がってる
⌘こちらの企画に参加しています⌘
百瀬七海さんの #ポエムで繋ぐバトン
百瀬さんのこの企画では、受け取ったポエムのバトンから好きなワンフレーズを、ポエムのタイトルもしくはポエムの文中に入れることで、バトンを繋いでいきます。
⌘受け取ったバトン⌘
とらみなさんの詩「ここではないどこかへ」
とらみなさんの詩の中から、「太陽の色をした蜜柑」というワンフレーズをお借りしました。このフレーズが、温かさと爽やかさを添えてくれる、我が家にとって身近なものであったおかげで、正直なことばたちが指をついて出てきてくれました。
そして今書いてる箇所、すなわち詩以外の文章は、ほぼとらみなさんの内容をそのまま書かせていただいています。あたたかい内容だったので、自分で書くよりこっちが生きてほしいと思いました。
とらみなさんに感謝。
たくさんの優しい言葉のバトンが、世界を繋いでくれますように。
(引用:心だけを重ねて、巡る世界でまたいつか #ポエムで繋ぐバトン |百瀬七海さん)
この企画は、どなたかを指名する形式ではありませんので、もしこのnoteを見て参加してみたいと思った方は、是非一度、先ほど紹介した百瀬さんのnoteを見に行ってみてくださいね。
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